「保険は人類最大の発明」とも言われるが…
高橋:保険とは何だと思いますか?
山田:えーと・・・、保険というだけあって、困るようなことが起こっちゃったときにもらえるお金ですよね。死んでしまったり、事故を起こしちゃったり、病気になってしまったりしたら、お金がもらえる・・・。それが保険じゃないんですか?
高橋:まぁ、そうですね。原理的には、保険とは滅多に起こらないけれど、起こってしまった場合の経済的な損失に対応するために、多くの人からお金を集めて対処する仕組みです。簡単に言うと、「不幸が起きた人に、みんなで集めたお金を払って助け合いましょう」というのが保険の仕組みです。
山田:なるほど。みんなで支え合っているわけですね。
高橋:そういう意味では、保険はとても画期的な仕組みだと思っていますし、保険は人類最大の発明とも言われています。ですから、保険は利用するべきというのが私の意見です。ただ、実際の使われ方や営業マンの売り方など、いろいろ問題があるのではないか、とも思っています。
山田:おっと! さっそく問題があるわけですね。
高橋:その話はまた後ですることにして、まず、保険はみんな入るものだと思っているかと思いますが、そもそも入るべきかどうかをちゃんと考えてほしいと思います。
山田:保険は入るべき・・・、なんですよね?
高橋:入るべきではありますが、あまり考えずに入っている人が多いのが問題です。保険って、本当に高い買い物なんですよ。日本人は保険が大好きと言われているくらい。マイホームに次いで、2番目に高い買い物と言われています。
山田:そんなに保険にお金を払っているんですね。
高橋:例えば、毎月3万円ずつの保険料を30年間支払ったと仮定すると、それだけで1080万円にもなります。
山田:おー!
「損か、得か」ではなく「必要か、不必要か」で選ぶ
高橋:雑誌や書籍、ネットなどの情報を見ていると、「どの保険が得か」といった情報は多々ありますが、そもそも「保険に入る必要があるか」という情報はほとんどありません。
山田:なぜ、ないんですか?
高橋:その理由は、保険会社から広告をもらっていたり、保険を売っている人が記事や書籍を書いていたりするからだと思います。あれだけ多くの保険の広告がテレビで流れていると、どうしても「保険は入らなければいけない」と思い込まされてしまいますよね。
山田:(思い込まされていたんだ・・・)
高橋:ですから、「どの保険に入るべきか」よりも前に、まずは「保険に入るべきかどうか」を立ち止まって考えるべきだと思います。不必要な保険にはなるべく入らないことが、自分の資産を守ることにつながっているからです。
山田:なるほど・・・。
高橋:ちなみに、よく「お得な保険はどれですか?」と質問されますが、私はお得な保険は存在しないと断言しています。
山田:ないんですか?
高橋:あるとすれば、団体保険や共済など、運営コストの安いものですね。保険は金融商品であり、あくまでも確率論。例えば死亡保険であれば、何歳の人が死ぬ確率は何パーセントだから、これだけのお金が必要だと計算します。そこに保険会社の利益を乗せて保険料を決めているのですから、基本的には損も得もありません。同じ30歳の人でも、30歳の平均よりも死ぬ確率が高い人は、確かに得かもしれません。でも、それは誰にわかると言うのでしょうか。
山田:占い師・・・とか?
高橋:(乾いた笑い)。最初に述べたように、保険はいざというときの経済的なリスクに備えるためのもの。だから、保険に損も得もありません。もし、お得な保険があるとしたら、保険ビジネスは成立しないと言ってもいいでしょう。
山田:損か得かではなく、必要か不必要かで保険を選ぶ、ということですね。
高橋:その通りです。