今回は、自宅を購入する際に生じるリスクについて見ていきます。※本連載は、元メガバンカーで、現在はファイナンシャル・プランナーとして人気の高い高橋忠寛氏の著書、『ズボラでも「投資」って、できますか?』(大和書房)の中から一部を抜粋し、大切なお金をしっかり守り、上手に増やすために必要な基礎知識を伝授します。

もしも災害が起きたら、工事が手抜きだったら…

高橋:家を購入すれば、それなりにメリットはありますが、当然ながらリスクもあります。

 

山田:どういったリスクがあるんですか?

 

高橋:大きな借金を背負うことになるリスクの他にも、いろいろなリスクがあります。例えば「災害リスク」。せっかく買った家が地震で倒壊してしまうこともあります。

 

山田:でも、地震保険に入っておけば大丈夫ですよね?

 

高橋:残念ながら、地震保険に入っていても、数百万円くらいしか保険金が下りないので、新たに家を建て直すためには多額の自費が必要になってしまいます。家具や家電とかも買い直す必要があるかもしれませんしね。そういった災害リスクもあれば、「手抜き工事リスク」もありますし、単純にお隣に変な人が住んでいたという「隣人リスク」もあります。マンションでも戸建てでも、隣にすごく変な人が住んでいれば(もしくは後から入居して来たら)、それだけでストレスになってしまいます。

 

山田:購入するときは、そこまでわからないですもんね。

 

高橋:最終的に大きなマイナスになっても、売りに出す決断をしなければいけないかもしれません。要は、そういったリスクを許容できるかどうかではないでしょうか。

 

山田:そこまでの覚悟が必要ということですね。ちなみに、賃貸派にもリスクはあるんですか?

賃貸派にとって一番の心配は「長生きリスク」

高橋:当然ながら、賃貸派にもリスクはあります。やっぱり一番大きいのは、「長生きリスク」でしょうか。長生きしたら、その分だけ家賃を払い続けないといけません。しかも高齢になると、賃貸で借りづらくなるという現実もあります。

 

山田:収入がなかったり、保証人がいないと、貸してくれる部屋がないわけですね。

 

高橋:「ない」というより少ないと言ったほうがいいですね。また「インフレリスク」もあります。インフレになると、当然ながら家賃も高くなってしまいます。少ない年金の中から高い家賃を払わないといけないので、生活が厳しくなる可能性が高くなります。

 

山田:やっぱり購入してよかったかも・・・。

 

高橋:どちらにしても、それなりのリスクがあるということです。リスクもしっかり把握したうえで、やはり自分と家族のライフスタイル、価値観によって決めたらいいと思います。

本連載は、2017年7月5日刊行の書籍『ズボラでも「投資」って、できますか?』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

ズボラでも「投資」って、できますか? 元メガバンカーが教える お金を守り、増やす超カンタンな方法

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高橋 忠寛

大和書房

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