前回は、事業再生計画書の「目標」の設定方法を説明しました。今回は、事業再生計画書の作成に社長が率先して関わるべき理由を見ていきます。

目標や夢を大事にしながら、現実路線の経営目標を設定

思い描く目標や夢は経営者個人のものとして大事にしながらも、ビジネスレベルでは会社という組織の利益を前提にして、より現実路線に引き戻した「経営目標」を明確に設定することが大切です。

 

前回、事業再生計画書をつくって融資を引き出すという話をしましたが、そういった場ではもちろん社長自身が業績や事業再生計画書の説明をする必要があります。

決算書、経営計画書の数字は「社長自身の数字」

会社の業績のよいときはもちろん説明しやすいのですが、実際にはそうではない場合が多いのが現状でしょう。そうすると、税理士に同席を頼んだり、金融機関との接触を避けるようになりがちです。

 

またこれから進める事業再生計画書の作成についても、税理士や会計士と協力しながら進めていく必要がありますが、だからといって目標や夢ばかりを語り、彼らばかりに任せきりにしていくことは、他人事のような計画書になってしまい、本末転倒です。

 

金融機関は社長の熱意や経営についての今後の考え方を見ています。社長自身が自社の業績をしっかりと把握し、さらに今後の展望を数値で具体的にイメージしているということが、金融機関にとって大きな評価になります。

 

決算書や経営計画書の数字は「社長自身の数字」です。社長が「自分自身の数字」として把握するためにも、社長が主体的に事業再生計画書作成にかかわっていくことが必要なのです。

本連載は、2017年3月23日刊行の書籍『「万年自転車操業」の会社を「万年安定経営」に変える方法 』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

「万年自転車操業」の会社を「万年安定経営」に変える方法

「万年自転車操業」の会社を「万年安定経営」に変える方法

小林 優一

幻冬舎メディアコンサルティング

リーマンショック、アベノミクスを経た現在でも、中小企業は生き残りをかけた厳しい時代を迎えています。このまま手をこまねいていれば倒産・廃業を回避することはできません。しかし、多くの零細企業経営者・個人事業主は、何…

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