「優れた投資先」としてどうアピールするか?
国外からの投資環境が整い次第、スリランカは優れた投資先だと世界に周知するマーケティングが必要になる。スリランカの売り込みは、インターネットや地方の観光産業と提携することで可能になるはずだ。
また特定の投資家カテゴリーに対応するために、スリランカ投資庁(BOI)に金融セクターに特化した部門を設けるべきだろう。このことはシンガポールやドバイの例から学ぶべきだ。ドル建てのETFとREITが導入されたなら、スリランカの歴史ある証券会社はこれを武器にして、外国の投資家を獲得していくと期待できるだろう。
歴史はあっても商品力に「弱さ」がある金融セクター
スリランカにとっての最大の課題となるのは、投資家の保護とともに投資家から信頼を得ることだろう。そのためにスリランカの規制の枠組みにおいて、高い水準が当然求められていく。地域の仲裁センターに発展してきたコロンボでこそ、更なる投資家保護と信頼醸成を進めていくことができるだろう。
スリランカの金融セクターにとっての挑戦はまだある。それは、地域内での競争力を高めることだ。スリランカの銀行・金融セクターは成熟しているが、外国の投資家が求めるような洗練された商品や優れた規格を提供する必要がある。もし世界中の銀行・ブローカー・ファンドマネジャーや格付け会社などが、スリランカに拠点を置くように惹きつけることが出来れば、これらの水準は自ずと上がっていくだろう。
世界人口の1/4弱を抱える巨大な南アジア経済圏
チャンスはたくさんある。スリランカは経済規模にして2兆6000億ドル、人口規模では世界の23%を巻き込む地域経済を興すことが出来る。そしてインドは2030年までに全世界のGDPの10%を占めるだろうと予測されている。
このことの恩恵は、投資・銀行・会計・法律セクターに直接もたらされるだろう。また海外の富裕層の実業家にとって、コロンボが投資先として台頭するにつれ、その利益は不動産セクターにも流れ込むに違いない。コロンボは他の南アジアの都市とは異なり、飲酒や賭け事にも口うるさくはない。スリランカが投資家の信頼を獲得し、現在BB-である格付けを「投資適格」となるBBB+に昇格することが出来れば、大規模な国外機関投資家からの資本流入も起こるだろう。
最終回となる次回は、スリランカのハブ国家としての将来性を見ていきます。