2009年の内戦終結以降、目覚ましい経済成長を遂げているスリランカ。インドとも良好な関係が築けている今は、さらなる飛躍への絶好の機会が訪れていると言えます。スリランカは南アジアでどのような存在に成長するべきか、6回に分けてお届けします。

金融センターではなく「投資センター」なら狙える!?

終わるとは思えなかった内戦を、我々は終わらせることができた。スリランカに高速道路なんて到底出来ないと思っていたが、いまや着々と建設されている。スリランカが、シンガポールやドバイと競うことなど絶対に起こり得ないとは思えるが、ひょっとしたらライバルになれるのかもしれない。

 

スリランカに今与えられているのは、南アジアの「金融センター」へと上り詰める機会ではない。この国はそのような立場からは程遠い。しかし、南アジアの「投資センター」という地位を狙うことは出来るだろう。今や2兆6000億ドルを超える規模となった南アジア地域経済のプラットフォームになれるチャンスがスリランカにはある。もしスリランカの運用資産(AUM)がシンガポールの1%にでも達すれば、スリランカの銀行システムに170億ドルものお金が流れこみ、そこから多額の手数料収入が得られるだろう。

 

重要なことは、この機会を活用するためには資本取引や外貨交換に対する規制を緩和するまでもない、ということだ。スリランカ投資庁(BOI)とコロンボ証券取引所(CSE)をプロモートする直接投資を通じて、スリランカに投資を呼び込むためのストラクチャーとソリューションは高められる。今の世界情勢では、利益につながるこの機会は門戸が大きく開かれており、スリランカは南アジア地域のどの国家よりもこのチャレンジに挑む準備が整っている。

インド・シンガポールの規制の存在が逆に追い風に

インド投資家たちから不評なインド準備銀行(中央銀行)は、海外投資家による株取引への参入を制御している。インド国外の個人投資家と小企業は参入を拒まれているのが現状だ。

 

その間、シンガポールとモーリシャスはインドへの直接投資を巡り対等に競っている。2014年ではシンガポールのプライベートエクイティ投資の投資先として最も多かったのはインドだった。しかし、シンガポールで毎年最低20万ドル費やす企業のみが、インドとの二重課税を防ぐ租税条約に適応されるようになっている。一方のモーリシャスもまたコストがかかり、更に地理的に不便なところに位置している。

 

このようなインドとシンガポールによる規制が、スリランカのもつ投資先としての魅力に、彷徨える数多くの海外投資家が気が付くきっかけになり得るだろう。


次回は、スリランカのお手本とも言えるシンガポールの事例を紹介する。

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」に掲載した記事「Big Idea – Openness – Sri Lanka as the next regional Investment Centre… is it time to take off? 」を、翻訳・編集したものです。

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