金融商品の質向上や国内外の投資家へのアプローチが依然課題とされるスリランカ。これらの改善は、南アジア地域への投資の受け皿になるためにも不可欠だと考えられます。具体的な課題が見えてきたところで、スリランカの「ハブ国家」としての将来性を改めて考えてみます。

かつてはシンガポールより遥かに進んでいたスリランカ

スリランカは海運業・紅茶・観光産業・アパレル輸出そしてクリケットでも世界トップクラスの実績を持つ。しかし果たしてスリランカは、金融セクターを成長させるこの壮大な機会を利用できるよう自らを方向づけるリーダーシップに、それを支える洗練された体制を持ち合わせているのだろうか。そしてシンガポール・香港・ドバイのように小さいながらもハブ国家として成熟し、国民に大きな利益をもたらすことが出来るのかは、まだはっきりとは分からない。

 

スリランカが投資ハブとして発展していくためには、国内・地域・世界のいずれの金融機関であろうとも、適切な環境や条件を与えられ、スリランカへの投資によって利益が生まれるようにしなくてはならない。

 

1960年代、シンガポールはスリランカよりも後進国だったが、リー・クアンユー首相のもと、アジアの金融都市としての地位を確立した。一方、スリランカは20年ほど閉鎖的な経済に身を隠し、更に25年ほど内戦を経験した。その間、シンガポールとドバイはチャンスをつかみ、世界の資本市場の中で現在の自らの地位を築いたのだ。

ハブ化の実現に向けて問われるリーダー・シップ

スリランカにおいても、前大統領は内戦に終止符を打ち、高度成長を促すインフラ整備にも注力した。また現政権にもヴィジョンと器量を兼ね備えた大統領がいる。新しい首相も外務大臣とともに、一流の外交術で国際人権問題に従事している。

 

市場志向的で自由を尊重する首相は、インドや西欧諸国、そしてスリランカの少数派などから厚い信頼を受けている。その彼が金融セクターを大幅に成長させるための、独立以来最大となるチャンスを生み出した。批判する者は多くいるだろうし、批判者の発言には耳を傾けるべきだろう。

 

しかし考えなくてはならないのは、スリランカ国内のプロジェクトへ外国投資を惹きつけるだけで満足してしまってよいのかということだ。それとも南アジア地域に対する大規模な国外投資の窓口に目指すべきなのか。手遅れになる前に行動を起こす必要がある。人材が豊富で条件や環境が完璧に整っていると言っても、スリランカがこの競争で勝利を収められるかどうかは全く分からないのだ。

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    この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」に掲載した記事「Big Idea – Openness – Sri Lanka as the next regional Investment Centre… is it time to take off? 」を、翻訳・編集したものです。

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