読み間違いのリスクを高めるコピー用紙の裏紙使用
前回の続きです。
経費削減のため、社員のリストラや給与・ボーナスのカットはもとより、コピーの裏紙利用、カラーコピーの禁止、こまめな消灯、文具の使い回しなど、細かな経費削減に一生懸命に取り組む会社がある。そして金融機関の方々も、そういった面も含めてとにかく経費削減を要求してくる。利益は簡単に上がらないのだから、まずは経費削減しろ、である。
私が入って業績が急回復した会社についても、「徹底した経費削減をした結果ですよね?」と様々な担当者からよく聞かれる。
そして、「していません」「基本的には、する気もありません」と答えると大体嫌な顔をされる。多くの人の考え方として、会社が利益を上げるには経費削減が大前提なのであろう。
しかし、例えば夜、社員が残って仕事をしている間は、私はむしろ社内の電気をすべて点けておいてもいいと思う。昼間も律儀に消す必要などはない。仮眠のために消しているという会社もあるが、1時間も皆で寝るのかと、それはそれで思う。暗かったら仕事をする人もできないし、新聞や書類なども読めない。
あと、なぜか多いのが、コピー用紙の裏紙使用である。それをして年間の紙代が一体どれだけ削減できるか計算したことがあるのだろうか。何より、その書類が見にくくなり、間違いやすくなるリスクをどう考えているのだろうか。私がある会社の会議に参加したときも、裏紙使用の書類が出てきて、どちらが裏か表か分からなくなることがしばしばあった。
目的を考えない経費削減は、百害あって一利なし
また、全社の数値目標の進捗をグラフにしてカラーコピーで張り出している会社があるのだが、先日、銀行の担当者から「カラーはコストの無駄だ!」と言われたこともあった。皆で数字を意識するために、分かりやすくしているのである。それを白黒にしたら意味がない。一つひとつ目的を持って行っているのである。いずれにしても、目的を考えないただの経費削減は百害あって一利なしである。
もちろん、経費を削減すること自体は悪いことではない。ただ、明らかに無駄なことだけやめればいいのである。
会社の目指すべき利益目標が明確であれば、そして社員がみんなそれについて理解し納得してくれていれば、社員のほうから自然に無駄な経費を抑えるようになる。強制的で細かな経費削減は社員の士気を下げる以外に何の意味もないと断言しておきたい。