飲み会費用の負担は、社員をまとめるひとつの方法
前回の続きです。
逆に、経費を使用する面で言えば、社内における飲み会などの費用は会社で負担してもいいと思う。私がコンサルティングしている会社の多くは、社内での飲み会・懇親会は全て会社持ちにしてもらっている。それまでは会社の忘年会ですら個人負担になっていた会社も多いため、社員たちからは喜ばれている。
その代わり、その飲み会では会社の愚痴などは基本的には言わずに(言いたい部分もあるだろうが)、皆で交流を図りながら、必ず前向きな話をすることを会社負担の条件としている。それで年間経費が何十万円もかかるわけではない。仮にかかったとしても、社員の皆がまとまれば安いものである。こういった方法も、使い方ひとつなのである。
さらに言えば、インフルエンザの予防接種などもすべて会社の費用で負担するのがよい。ある会社の社長に勧めたところ、その社長は「インフルエンザなどは気合で乗り切る」と言っていた。そのセリフは他社でもよく耳にする。
インフルエンザを気合で乗り切れるはずがない。いつの時代の人間のセリフかと思う。予防接種を受けてもインフルエンザにかかる人はかかる。ただ、かかったときのダメージは予防接種を受けていない時に比べて格段に下がる。そのくらいは常識である。結局はリスク管理の意識の差でしかない。こういった面も、経営のリスク管理の一つなのである。
多少の経費負担で、大きなリスクを回避することが可能
その会社では、社長と話をした2週間後、まさしく現場が追い込み時期の2月に、社長本人を筆頭に実に70%の社員がインフルエンザにかかり、会社は大きなダメージを受けた。そして、翌年からようやく費用は全額会社負担で、全員予防接種を受けてもらっている。ちなみに、会社負担をケチり、社員の自己負担で予防接種を推奨しても3~5割の社員は接種しない。全員接種しなければリスク回避にはならないし、意味もなくなる。
建設業界において最も大変な冬場~春先にかけての時期に社員に休まれたほうが、よほどダメージが大きい。多少の経費で大きなリスク回避ができる、とても大事な手段の一つだと思う。ここはぜひお勧めしたい。