廃業には様々な選択肢があり、債務超過会社だから破産するしかない・・・と決めてしまうこと自体、経営者の大きなリスクとなります。今回は、事業譲渡という選択肢について見ていきます。

赤字会社でも「高値で売る」という気持ちを持つ

現在、中小企業の経営者のほとんどが、第三者に相談することもなく廃業を考えています。廃業といってもさまざまな選択肢がある中で、単純に債務超過会社だから破産するしかないと決めてしまうことが、経営者のリスクとなります。


そこで、廃業を考えている経営者の方にはまず「赤字でもいいところを見つけて売れるのだ」という強い気持ちを持って、専門家の扉を叩くことからスターとしてほしいと思います。それが、事業譲渡+特別清算+経営者保証ガイドラインというきれいな廃業に向けた最初のステップとなります。

 

事業譲渡の手続を開始してから終わるまでに要する期間はおよそ6か月かかります。場合によっては1年先の見通しも立たない赤字会社の経営者の方もおり、一刻も早くという気持ちになるのもわかりますが、第三者による承継先を探す場合、買い手を探して契約の交渉をし、契約実現に至るまでには、相応の期間が必要となります。


GOOD部門の事業譲渡が終われば、残された会社の特別清算を進めながら、同時に経営者保証ガイドラインによる経営者の債務整理を行います。これが終了するまでには少なくともさらに6か月ほど見込まれます。つまり全工程が終わるまでには、1年間程度の期間が必要です。

過去3年間の数字推移で財務状況と事業の概況を分析

まず、私たち専門家は経営者と打合わせをしながらヒアリングシートに会社の情報を記入します。その際、過去3年分の会社の法人確定申告書や決算書などの資料が必要です。会社の資本規模、負債、資産、財務状況や営業の概況を、こうした書類から把握します。


ここでもっとも注目するのは、過去3年間の売上高税引き後利益(損失)、資産や負債・純資産(損失)などの数字の推移です。たとえば、売上高が急減しているとしたらそれはなぜなのか。メーカーの場合であれば、親会社がなくなっていることもありますし、得意先が発注先を切り替えたり、アジアに移転してしまったりということも少なくありません。


小売業の場合、顧客に飽きられていたり、ライバルに顧客を奪われているなどの原因が見つかることもあります。いずれにしても、過去3年の数字の推移を見ながら経営者に質問し、財務状況と事業の概況を分析します。

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    本連載は、2015年8月26日刊行の書籍『赤字会社を驚くほど高値で売る方法』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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    山田 尚武

    幻冬舎メディアコンサルティング

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