前回は、子どもの成長、家族の介護など、将来を見越した家造りの重要性を解説しました。今回は、快適な家造りに不可欠な「生活動線」への考慮について見ていきます。

子どもが自室に「こもりきり」にならない間取りを

家族みんなが自然と集まるリビングのある家は理想的です。何が条件かは、その家によって変わってくるので一概には言えませんが、陽当たりがよく明るかったり、吹き抜けがあって開放感があったりと、快適で居心地がよいリビングには自然と人が集まります。

 

また、これは間取りの問題になってくるのですが、リビングを通らないと自分の部屋に行けないようにするなど、生活動線を考えたプランにするのがいいでしょう。特に子ども部屋に子どもがこもりきりにならないようにすることが大切です。

 

これは私自身の話ですが、10代の頃は家に帰ると親がいるスペースには立ち寄らず、すぐに自分の部屋に入ってしまうこともありました。食事の時間だけは出てきて、食べ終わったらまたすぐ部屋に戻ってしまう。自分の部屋に電話やテレビの線を引き込んだりと好き勝手にしていました。これは自分が親の立場になって改めて考えてみると寂しい話です。

 

あるお客様は、子ども部屋は3畳もあれば十分で、広い部屋を与える必要はないとおっしゃいました。必要以上に快適な部屋は子どもがこもる原因になるからだそうです。この話を聞いた時、なるほどと思わず私も共感しました。普段からなるべくリビングを通るような間取りにすることで、家族の間のコミュニケーションも増えるでしょう。

見た目のデザインだけでなく「利便性」を考える

見た目のかっこよさだけで家造りを考えるのは避けましょう。例えば外観やインテリアといった意匠的な部分のみを重視し、住み心地を考えずに家を建てると、夏は暑く冬寒い部屋や、家事に不便だったりと、後悔することもあります。デザインという単語には、機能面においてもすぐれているという意味が含まれます。断熱性能といった機能性や、生活動線などの利便性も踏まえた、本当の意味でデザイン性の高い家を造りましょう。

 

キッチンの横に洗面脱衣所があって洗濯には便利だけど、階段が遠いと洗濯物を干すときに大変だから、すぐ横に階段を造って……と、生活動線は私もプランを考える際に一番気を遣う部分です。当たり前のことですが、私は常に住む人の生活を考えたプランをご提案するため、お客様より「日々の家事が楽になった」という声をいただくとうれしく思います。

本連載は、2017年2月27日刊行の書籍『改訂版 いい家は注文住宅で建てる』(幻冬舎メディアコンサルティング)の本文から一部を抜粋したものです。

改訂版 いい家は注文住宅で建てる

改訂版 いい家は注文住宅で建てる

齋藤 正臣

幻冬舎メディアコンサルティング

人生で一番大きな買い物、「マイホーム」。理想のイメージばかりが先行して、見当違いな設計に後悔したり、不本意な金額を払ったりするハメに陥らないために、まずは住宅オーダーの基本を学びましょう。「よい見積り、悪い見積…

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