前回は、住宅の寿命を延ばす「適切な地震対策」の立て方について説明しました。今回は、快適な家造りのために極めて重要となる「住宅の気密性」について見ていきます。

夏涼しく冬暖かい「高気密」な家

前の章(※書籍参照)でも触れましたが、夏涼しく冬暖かい住宅は過ごしやすく理想的です。また空調にかかる電気代の節約にもなり省エネです。

 

わずかな熱源で室温を維持し、年間を通じて温度変化を少なくするためには、外部からの熱気や冷気の侵入を防ぐために、できるだけ隙間をなくして高気密な家にする必要があります。

 

高気密な家と聞くと、なんだか息苦しいイメージがありますが、そんなことはありません。2003年に24時間換気システムの設置が建築基準法で義務づけられましたが、この24時間換気は、高気密の家でこそ有効に働きます。室内の気密性が高ければ、換気メーカーがシミュレーションしたとおりに空気が流れてしっかり入れ替わるので、想定通りの計画換気が実現できるのです。

 

住宅の気密性を表す指標に「C値」があります。C値は、「隙間相当面積」といって、建物の床面積1㎡あたりにどれだけ隙間があるかを表すもので、数字が小さければ小さいほど、隙間が少なく高気密な家ということになります。神奈川県内の場合、国の規定ではC値は5.0㎠/㎡以下ですが、弊社の外断熱住宅の平均C値は㎠/㎡です。これは、家全体で名刺1枚ほどの面積しか隙間がないということです。これだけ高気密であれば、室内が外気からの影響を受けにくい空間になります。

住宅の性能を比べるには「C値」が重要だが…

住宅の性能を比べるにはC値が非常に重要ですが、残念なことに、現在の基準では省エネ性能を測る計算式にC値は用いられません。しかし、高気密は「快適な住まい」の絶対条件ですので、業者選びをする際には必ず確認してください。

 

また、住宅の断熱性を測る指標としてもうひとつ、UA値というものがあります。これは、「外皮平均熱貫流率」といって、屋根や外壁、床など、家全体から逃げる熱量の合計を、同じく屋根や外壁、床などの面積の合計である「外皮等面積」で割った数値です。値が小さいほど、断熱性能の高さを表します。

 

しかし、私自身はこの数値をあまり重要視していません。現在の住宅では、窓は壁と比較すると断熱性能が劣り、窓を大きくすればするほど、断熱性能は落ちてしまいます。そのため、UA値を小さくしたければ、家の窓をどんどん小さくすればいいのです。ですが、それでは十分な採光がとれません。家が暗いと昼間から電気をつける必要があり、余計な電気代がかかります。昔の家に比べ、気密性も、窓自体の断熱性能も上がっているので、個人的にはこちらの数値はあまり気にする必要はないと思います。弊社では、小さな窓よりも大きな窓をつけて明るい家で毎日を過ごすことを大切にしています。

 

[図表1] 緑建設施工の相模原市S氏邸 日別の平均温度図

本連載は、2017年2月27日刊行の書籍『改訂版 いい家は注文住宅で建てる』(幻冬舎メディアコンサルティング)の本文から一部を抜粋したものです。

改訂版 いい家は注文住宅で建てる

改訂版 いい家は注文住宅で建てる

齋藤 正臣

幻冬舎メディアコンサルティング

人生で一番大きな買い物、「マイホーム」。理想のイメージばかりが先行して、見当違いな設計に後悔したり、不本意な金額を払ったりするハメに陥らないために、まずは住宅オーダーの基本を学びましょう。「よい見積り、悪い見積…

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