前回は、変化するライフステージに合わせた家造りの重要性について説明しました。今回は、耐震性・耐久性が高い家造りのための工法と材質の例を見ていきます。

内断熱工法は住宅の寿命を縮めるケースも!?

30年以上も住宅ローンを払い続けて、払い終わった頃には、柱や土台の腐食やシロアリ被害など、構造材に問題が生じてしまう。それではあまりにも悲しすぎます。本来、木造住宅というものはもっと長持ちするものです。

 

木という素材が持つもともとの性質を無視して、柱と柱の間に断熱材を入れる内断熱工法で家を造るようになってから、このような事態が多く見られるようになりました。内断熱工法では、柱などの木材が空気に触れず、カビやそれをエサにするダニが発生しやすくなります。また、壁の中で発生した結露により腐朽菌が発生し、構造材そのものが腐り、住宅の寿命を縮めていたケースもあるのです。いくらボルトなどの金具で補強しても、もとの柱や土台がボロボロに腐ってしまっていたら、耐震性・耐久性の高い家になるはずがありません。

外断熱工法を用い、無垢材の特性をさらに活かす

木を腐らせないようにするためには、とにかく空気に触れさせることが一番です。柱の外側にすき間なく断熱材を張り巡らせる外断熱工法なら、壁内の温度や湿度が一定に保たれ、結露の発生が抑えられます。また壁内が空洞になるので柱が直接空気に触れると、木材の調湿機能がより高まります。

 

ひき板や小角材を接着剤で組み合わせた集成材の場合は、年月を経た後の耐久性が不安ですが、無垢材であれば、100年経っても200年経っても丈夫な木造住宅は理論的に可能です。外断熱工法を用い、無垢材の特性をさらに活かした家を建てれば自然と高耐久の家になるのです。

本連載は、2017年2月27日刊行の書籍『改訂版 いい家は注文住宅で建てる』(幻冬舎メディアコンサルティング)の本文から一部を抜粋したものです。

改訂版 いい家は注文住宅で建てる

改訂版 いい家は注文住宅で建てる

齋藤 正臣

幻冬舎メディアコンサルティング

人生で一番大きな買い物、「マイホーム」。理想のイメージばかりが先行して、見当違いな設計に後悔したり、不本意な金額を払ったりするハメに陥らないために、まずは住宅オーダーの基本を学びましょう。「よい見積り、悪い見積…

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