人間と同じように、企業も年齢によって、売却等にあたって相性の良い企業、悪い企業があります。図をもとに企業のライフサイクルを見ていきましょう。

売却しやすいのはやはり「成長期」か「成熟期」

売却先の選択については、次のふたつを軸に検討していきます。

 

①買い手の目的

買い手側がM&Aをしようとしている目的や理由を知ることが大切です。自社のニーズと買い手のニーズが合致していれば、M&Aが成立しやすくなるからです。互いのニーズの隔たりが大きく、交渉をしても歩み寄りが難しい場合は、ターゲットを変えることも必要です。

 

②自社のライフサイクル

自社や売却事業がライフサイクルのどのステージにいるかを見極め、市場価値を知ることが大切です。

 

人間にライフサイクルがあるのと同じように、企業にもライフサイクルがあります。企業のライフサイクルでは、成長期か成熟期にあると売却しやすく、価格も高くなります。衰退期にあると売却しにくく、価格は安くなります。

 

自社の価値に自信が持てればM&Aも優位に進む

買い手の理由と売却時期の関係性を見ていきましょう。

 

●成長期の会社は、異業種参入を狙う企業との相性がいい

買い手側が新規事業を行いたいと考えている場合、一から事業を起こすよりすでにその分野で事業を始めている会社を買い取ったほうが、時間的に有利です。つまり、売り手側の企業が成長期にあって、これから一定の成長を見込めそうだとなると、買い手にとっては魅力的に映ります。売却事業が成長期にある場合は、新規参入を図る企業をターゲットにすると、M&Aが成立しやすくなります。

 

●成熟期の会社は、シェア拡大を狙う会社との相性がいい

買い手側が事業でのシェア拡大を望んでいる場合、すでに一定のシェアをもつ会社を買い取ることが、手っ取り早くシェアを確保する手段になります。つまり、売り手側の企業が成熟期にあって、定着した販路や顧客、ブランド力などを持っていると、買い手にとっては魅力的です。売却事業が成熟期にある場合は、シェア拡大を図る買い手をターゲットにして探すと、M&Aが成立しやすくなります。

 

ただし、これは別の見方をすると、これまで商売敵だった会社に自社を売ることになります。そのあたりをよく考えて情報を精査し、売却を決めるようにしたいものです。会社を譲渡する際にどの売却スキームが最適なのか、どんな売却先を探すべきかをよく分析し、専門家のアドバイスのもとで自社の価値を高める工夫をしましょう。

 

自社の価値に自信が持てれば、それだけ優位に立ってM&Aを進めることができるようになります。買ってもらえるのを受け身で待つのではなく、自分から相手に仕掛けていけるくらいになるのが理想です。

 

最適な相手に最適な方法・タイミングで売却することができれば、100点満点のM&Aが叶うはずです。買い手に自社を大切にしてもらい、後世に長く存続させてもらうためにも、売却スキームと売却先の選定は慎重に行わなければなりません。

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    本連載は、2015年9月25日刊行の書籍『後継ぎがいない会社を圧倒的な高値で売る方法』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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    岡本 雄三

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