専門家の力を借りてM&Aを成功させるには、各専門家の特性を知っておく必要があります。前回に引き続き、それぞれの専門家のメリットとデメリットなどを見てきます。

M&Aコンサルタントは「誰の味方か」を見極める

M&Aをビジネスにしているという点で、M&Aのルールや情報に詳しく、業界内での顔も利きます。きっと頼もしい味方になってくれるでしょう。ただし、なかにはM&A業界にどっぷりはまりすぎて、癒着などの不透明な動きをする業者もいます。

 

M&Aでは、売り手側は基本的に「会社を売却して終わり」なので、次回のリピートはありません。一方、買収を繰り返して大きくなろうとする企業などでは、何度もリピートしてくれる可能性があります。そのため、買い手側に有利な動きをするといったことが起こり得るのです。

 

親身に味方になってくれているかどうかは、売却価格の提示の考え方や報酬体系等で判断できます。適正価格で相談に乗ってくれるかどうかを、まずは見てください。

 

【メリット】

★専門の知識と経験を持っている

★M&Aに必要な幅広いネットワークを持っている

★ワンストップで案件相談から最終契約締結まで一貫して対応できる

★最初から最後まで同じ担当者が対応してくれる

 

【デメリット】

★仲介している立場として買い手と売り手の間に入っての価格交渉をするため、売却価格が適切かどうか客観的な視点を入れる必要がある

M&A専門部門を持つ金融機関でなければ・・・

金融機関はお金のプロなので、資金面での相談に乗ってもらうには最適です。ただし、融資などを担当する一般的な銀行員がM&Aに詳しいとはいえません。金融機関によってはM&Aを専門に扱う部門をもつところもありますが、多くはないので最適な相手を探すことは難しいかもしれません。

 

【メリット】

★経理面についての理解がある

★取引先が多いため、広範なネットワークがある

★日頃から付き合いのある場合には信頼関係が築けている

★金融機関によってはM&Aの専門部署もあり、専門性がある

 

【デメリット】

★手数料が高め(最低手数料が設定されているところもあり)

★手続きや対応に時間がかかることがある

★担当者が変わることがある

信頼できる知人紹介のアドバイザーをどう考えるか?

信頼のおける知人にアドバイザー探しを手伝ってもらうと、親身になって動いてくれるため、よいアドバイザーを見つけてきてくれる可能性は高いでしょう。

 

ただ、親身になって動いてくれた分、気に入らなかったときに断りづらいというのはあるかもしれません。また、その知人自身が過去にM&Aをしたことがあるなど、ある程度詳しい場合はいいですが、全くの素人だった場合、単に知り合いの税理士を紹介するだけになってしまうケースもあります。

 

最も気を付けなくてはいけないのは、知人が相談に乗るなかで知り得た情報をうっかり漏らしてしまう危険があることです。税理士や弁護士などは秘密保持が仕事ですから、業務上しり得た情報を漏らすことはしませんが、一般の人ではそうした意識は通常あまり高くありません。

 

親身になって動いてくれるだけでなく、秘密保持の意識の高い知人であれば相談に値するでしょう。


【メリット】

★知人、友人から詳細な評価を聞いて依頼するかどうか判断することができる

★紹介する側も面子があるので、悪徳なところ、能力のないところは紹介しない

★自分でアドバイザーを探す時間を短縮できる

 

【デメリット】

★紹介者の手前、相性が悪い場合に断りづらく、要望も強く伝えにくい

★失敗したときに責任を追及できない

★秘密保持の意識が低い

本連載は、2015年9月25日刊行の書籍『後継ぎがいない会社を圧倒的な高値で売る方法』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

後継ぎがいない会社を 圧倒的な高値で売る方法

後継ぎがいない会社を 圧倒的な高値で売る方法

岡本 雄三

幻冬舎メディアコンサルティング

「後継者がいない」「後継者がいても継がせたくない」そう悩む中小企業経営者が増えています。しかし、廃業となると、経営者自身の連帯保証の問題や従業員の生活の保証、取引先への影響などもあるため、なかなか踏み切るのは難…

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