M&Aを税理士や弁護士などの専門家に単独で依頼してしまうと、包括的な対応や視点に欠けるケースが出てきます。今回は、各種専門家とのネットワークを持つ「ワンストップ」型のM&Aアドバイザーを活用するメリットを見ていきます。

寄せ集めの集団による「隙間」が致命的なミスを生む

税理士や弁護士、M&Aコンサルタント、金融機関などに相談すると、それぞれに特化したサポートは受けられますが、いずれも単独では難しいことが分かります。包括的な対応や目線が欠けてしまうからです。

 

M&Aアドバイザーには、M&Aの経験が豊かで、ワンストップのサービスを行える各種専門家とのネットワークがあることが重要です。複数のアドバイザーを寄せ集めるのではなく、M&Aを最初から最後まで、そしてM&A後までも一手に引き受けられる「ワンストップ」型のアドバイザーを味方に付けてほしいと思います。

 

寄せ集めの集団では、しばしば互いの専門分野の境界で隙間が生まれてしまいます。その隙間にある問題がカバーされることなく物事が進んでいくと、いつかきっと見落としや手抜かりとなって表面化してきます。それが致命的なミスを引き起こす危険性もあるのです。

専門家が「総力」を結集してこそM&Aは成功する

その点、専門家がチームとして動くワンストップなら、すべての領域を隙間なくカバーできます。穴ができにくく、仮に穴が見つかっても大事に至る前に素早く塞ぐことが可能です。

 

たとえば、M&A専門チームを備えて相談に乗っている銀行とネットワークをもつアドバイザーは強いです。相談に行くとM&Aチームのいつも同じ担当者と話ができますので、相談がとてもスムーズに進みます。しかも金融業界と各種業界の両方の知識を備えていますので、有意義な意見や提案がもらえます。特に違いが大きいのは、融資を受ける際の利率面です。

 

銀行とアドバイザーの間で信頼関係が築けているということは、お互いに突っ込んだ話ができるということであり、利率や返済の交渉などにも応じてくれやすくなります。それによって他銀行の半分以下の利率で融資がまとまったり、返済の元金据え置き期間を長く設定してもらえたりすることも珍しくありません。

 

ここではページの都合上、銀行だけを紹介しましたが、弁護士や保険会社や各種業者などいろいろな専門家とのコネクションやネットワークを持っているアドバイザーに依頼すると、こういった優遇が多方面から受けられることになります。専門家たちが総力を結集してM&Aを「成功」へと引っ張ってくれるのです。

本連載は、2015年9月25日刊行の書籍『後継ぎがいない会社を圧倒的な高値で売る方法』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

後継ぎがいない会社を 圧倒的な高値で売る方法

後継ぎがいない会社を 圧倒的な高値で売る方法

岡本 雄三

幻冬舎メディアコンサルティング

「後継者がいない」「後継者がいても継がせたくない」そう悩む中小企業経営者が増えています。しかし、廃業となると、経営者自身の連帯保証の問題や従業員の生活の保証、取引先への影響などもあるため、なかなか踏み切るのは難…

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