傾いた床での機械操作…従業員の安全が脅かされた事例

前回は、床の傾きやたわみが引き起こす事故について説明しました。今回は、「床の傾き」によって生じる従業員の危険性について見ていきましょう。

自分の身体を歯止めにして台車の暴走を防止…

●CASE6 作業員は、台車が動く方向に自分の身体を置いて暴走を防止

(食品メーカー・F社・工場)

 

地盤沈下が激しい土地に建つ工場で、沈下は最大で110ミリ。床の傾きはぱっと見てもわかるほどでした。

 

実際、材料や製品であるパンを載せて移動するための台車は、放っておくと勝手に走り出してしまいます。そのため、——これは「現場の知恵」と言えないこともありませんが、作業中は自分の身体を台車よりも坂下側に置いて、身体で台車を止めながら荷物の移動を行っていたのだそうです。

 

また、パンの材料をこねる機械なども、そのままでは傾いてしまいますから、機械の下にゲタ(スペーサー)を履かせて調整していました。もっともそれが不充分だったのか、それとも調整してからさらに沈んでしまったのか、それでも脚が浮いてしまっている部分もあります。

 

機械の片側の下にスペーサーを入れざるをえない状態
機械の片側の下にスペーサーを入れざるをえない状態

 

設備担当会社の方も視察に来ていたのですが、その様子を見て「これは怖い」と言っていました。もともとこね機などは振動の激しい機械なので、設置場所が不安定だと事故発生の危険性も高く、これはさすがに見過ごせない状態だとか。

「安全」は、あって当たり前のもの

工場設備のリニューアルとともに、沈下修正工事をすることになりました。主に学校給食のパンを生産し卸しているため、学校の長期休暇中なら工事のための時間が捻出できます。そこで機械も止めて一気に修正施工を行いました。

 

床が水平を取り戻したことで、「安全」という、あって当たり前のものに気を取られることなく、作業員の方が製造工程に集中できるようになったというお話です。

アップコン株式会社 代表取締役

1985年 武蔵工業大学(現 東京都市大学)建築学科卒業。
1988年 プラット・インスティテュート大学院(ニューヨーク)インテリアデザイン学科卒業。
1989年 オーストラリア・シドニーの大手建築設計事務所に勤務。日本担当部長として新規事業開拓を手がける。
1998年 設計施工一貫請負の会社をシドニーに設立。
2000年 特殊樹脂を使用する地盤沈下修正工法を知り、工法を習得。
2001年 同工法を用いた外資系土木会社の日本法人を設立。代表として、九州で事業を展開。
2003年 4月 独自に研究を重ね、ノンフロン材を用いた小型機械による新工法「アップコン」を考案開発。6月 アップコン有限会社(現 アップコン株式会社)を設立。代表取締役に就任、現在に至る。
2006年 EOY JAPAN 2006 ファイナリスト
2009年 ASPA Awards 2009 Excellence Prize 受賞
2012年 かながわビジネスオーディション2012 審査委員特別賞受賞、低CO2川崎パイロットブランド'11 受賞
2014年 奨励賞受賞(川崎市制90 周年記念表彰)

「夢の扉 ~NEXT DOOR~」(TBS テレビ)、「FNN スーパーニュース」(フジテレビ)、「ホンマでっか!? TV」(フジテレビ)など各種メディアにも多く取り上げられる。

著者紹介

連載事業の傾きを招く!? 工場・倉庫の「傾いた床」の問題

本連載は、2016年11月25日刊行の書籍『改訂版 不良品が多い工場の原因は地盤が9割』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

改訂版 不良品が多い工場の原因は地盤が9 割

改訂版 不良品が多い工場の原因は地盤が9 割

松藤 展和

幻冬舎メディアコンサルティング

4年前出版し関係者の間で話題沸騰したあの書籍が、「傾いた床」による様々なリスクを追加収録し、 【改訂版】としてパワーアップして帰ってきた! たった0.6度の床の傾きで、業務も傾く! 日本の建物の9割が地盤に起因…

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