床の傾きによって、台車やカートが「凶器」に!?
業務の中で荷作業が占める割合が大きいからこそ、フォークリフトのような専用車両が必要になるのかもしれませんが、そこまでではなくても、私たちは荷物の運搬のために台車を使うことがよくあります。
また、大型店舗などではお客様の買い物の利便性を考えて、ショッピングカートが備えられています。
こうした、台座や脚に車輪がついているだけの簡素なつくりの運搬器具も、床の傾き・たわみによって悪影響を受けますし、時としてそれ自体が“凶器”となって人やモノを傷つけることがあるのです。
事故が起これば、経営の存続にも関わりかねない
とあるロードサイドの大規模な量販店。きれいな店内、豊富な品揃えで、周辺だけでなく隣県からもお客様を集め、良好な業績を上げているお店です。しかし、一見順調に見えるそのお店ですが、従業員の間では、ある“不安材料”が囁かれていました。
お店の1階フロアの一部で、ショッピングカートから手を放すと、そのカートがひとりでに走り出してしまうのです。カートが動き出してしまう原因は、一見そうとはわからないものの、店がオープンしてしばらくして広大な売り場の真ん中あたりが沈み始め、フロアが緩やかに窪んでしまっていることでした。
もちろん、大抵の場合は、動き出したカートを見てお客様は慌てて押さえますから大事には至らないのですが、時には棚の商品に気を取られていて、カートから注意を逸らしていることもあります。
そんな場合でも、せいぜい近くの棚にコツンと当たって止まってくれる程度ならよいのですが、中には、たまたま遮るもののない方向に走り出し、だんだんとスピードが出て、勢いよく棚に衝突して転倒、商品を撒き散らしてしまうというケースも何件かあったのです。
しかしそれもまだ軽い事故というべきで、従業員にとって最も不安なのは、そうしてスピードのついたカートの先に、もしも子どもでもいたら・・・、ということです。実際、これまでは運よくそうした最悪の事態には至っていませんでしたが、家族連れのお客様も多い店のこと、いつそのような大事故が本当に起きてしまうかわかりません。
手軽に扱える台車やカートですが、床の傾き・たわみという力が加われば、経営の存続にさえ関わるような事態を招きかねないといえましょう。