前回は、傾いた校舎が生徒に与える悪影響について説明しました。今回は、たわんだ床で練習する卓球部の事例を見ていきましょう。
元が田んぼの造成地にある建物は、沈下しやすい
●CASE8 ボールが勝手に中央に集まる床は、いつか大事故を引き起こす
(市立中学校・体育館)
地方都市にある中学校の体育館の床は、見てすぐにわかるほどの沈下量でした。田んぼを造成した土地に建てられたため、もともと沈下しやすい環境にあったのです。実際、体育館よりも先に校長室、保健室の床も大きく傾き、1年前に修正工事を終えたばかりでした。
床の中央から上げていく工事によって、無事水平に
ここの学校は女子卓球部が強く、大きな大会で活躍していたのですが、何と、飛ばした球が、自然に床の真ん中に集まってくるのだそうです。
「球拾いの手間が要らないから、効率的に練習ができるんです。床を直して水平になったら、弱くなってしまうかもしれませんね」
指導する先生は笑っておっしゃっていましたが、もちろんそれは冗談で、たわんだ床での練習がよくないのは当然のことです。いつか大事故につながりかねません。それが心配の種になっていました。
広さは710平方メートル。その床の中央から上げていく工事によって水平が取り戻され、先生は安心して指導できるようになり、生徒の皆さんもこれまで以上に練習に集中できるようになったとのことです。
アップコン株式会社
代表取締役
1985年 武蔵工業大学(現 東京都市大学)建築学科卒業。
1988年 プラット・インスティテュート大学院(ニューヨーク)インテリアデザイン学科卒業。
1989年 オーストラリア・シドニーの大手建築設計事務所に勤務。日本担当部長として新規事業開拓を手がける。
1998年 設計施工一貫請負の会社をシドニーに設立。
2000年 特殊樹脂を使用する地盤沈下修正工法を知り、工法を習得。
2001年 同工法を用いた外資系土木会社の日本法人を設立。代表として、九州で事業を展開。
2003年 4月 独自に研究を重ね、ノンフロン材を用いた小型機械による新工法「アップコン」を考案開発。6月 アップコン有限会社(現 アップコン株式会社)を設立。代表取締役に就任、現在に至る。
2006年 EOY JAPAN 2006 ファイナリスト
2009年 ASPA Awards 2009 Excellence Prize 受賞
2012年 かながわビジネスオーディション2012 審査委員特別賞受賞、低CO2川崎パイロットブランド'11 受賞
2014年 奨励賞受賞(川崎市制90 周年記念表彰)
「夢の扉 ~NEXT DOOR~」(TBS テレビ)、「FNN スーパーニュース」(フジテレビ)、「ホンマでっか!? TV」(フジテレビ)など各種メディアにも多く取り上げられる。
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連載事業の傾きを招く!? 工場・倉庫の「傾いた床」の問題