法人は、会社と個人が完全に切り離される
連載「手書きで簡単にできる個人事業主のための「出納帳」作成術」や「月1回だけでOK!個人事業主のための領収書整理術」では、個人事業主の方を中心にお話をしてきましたが、「最初から会社を作ったほうがいいのか、まずは個人事業主で始めるべきなのか」と、あれこれ悩まれた経験をお持ちの方もいらっしゃることでしょう。
また、個人事業主でスタートしたものの、「法人にしたほうがトクって聞いたけど、ホント?」そんな疑問をお持ちの方も多いかもしれません。
その判断基準について解説する前に、まずは、法人と個人事業主との概念の違いを押さえておきましょう。
大きな違いは、”公私の区別”についてです。個人事業主は、場面に応じて事業をしている「私」、生活をしている「私」の両側面を持ちますが、法人は「”法”律上の”人”」というぐらいですから、会社と個人は完全に切り離されます。
法人化すると、毎月決まった給与内で生活することに
では、そもそも法人、会社とは何なのか。誰のモノなのか? 「社長の自分が出資して、設立したのだから、社長のモノなんじゃ?」残念ながら不正解です。
今は昔、「ライブドア事件」が起こった際に「会社とは誰のものか?」といった論争が沸き起ったことを覚えている方もいるでしょう。人によっても、さまざまな解釈、意見があるわけですが、資本主義経済のルールとしては、所有権は株主にある。これが正解です。
ただし、中小企業の場合、株式の50%以上を社長が持っている、あるいは株主が社長1人というケースも多くあります。”オーナー社長”という言葉があるように、実質的に、社長が会社のオーナーというのが一般的です。
といって、いくらオーナー社長でも、会社のモノやお金を私物のように扱うことはできません。また、会社の場合は、社長であっても給与所得者。よって、毎月、決まった給与内(役員報酬)で生活していくことになります。これも、個人事業主との大きな相違です。
本連載では法人に関する素朴な疑問にお答えするとともに、法人化を考える際に注意すべきポイントについても解説していきたいと思います。