前回は、法人と個人事業主との違いとは何かを説明しました。今回は、これまでの個人事業を「法人化」するメリットについて見ていきます。

個人所得が一定以上になれば、法人化がおトクだが…

「法人にしたほうがいろいろと節税できるからおトク」

「いや、社会保険の支払いが発生するのでタイヘン・・・」

 

独立・開業すると、自営業の先輩や仲間から、さまざまな噂を耳にすることも多いと思います。

 

税率から考えると、個人の所得がある一定以上に達したら、法人に切り替えたほうがおトクになるのは事実です。しかし、それ以外にも法人には、法人だからこそのメリット、もちろんデメリットも存在します。公平に判断するべく、それぞれ良い事、厄介な事をピックアップしていきましょう。

一定条件下での消費税の免除等、税金面での利点が多い

まずは良い事から。

 

メリット① 給与は費用扱い。所得分散で、所得税負担も軽減

 

法人化すると、社長も会社から給与を受け取る立場になります。かつ家族を役員にし、給与という形で、会社の所得を分散させることも可能となります。

 

つまり、家族全体で所得税を低い税率に抑えることができ、各人、給与所得控除を差し引くこともできる。ちなみに、夏休みなどに親族の学生のアルバイトを臨時で雇った際のアルバイト代も費用になります。

 

メリット② 退職金も給与扱いになる

 

給与のほか、社長の退職金に加え、役員や従業員にも退職金を支払うことができ、費用に計上することができます。

 

メリット③ 消費税の免除

 

新たに法人を設立した場合、資本金1000万円未満であれば、売上にかかわらず、2年間は消費税免税となります。

 

メリット④ 生命保険の活用

 

従業員、役員を被保険者とした生命保険に加入し、支払った保険料を費用に計上することができます。

 

メリット⑤ 信用力

 

金融機関から融資を受ける際など、個人よりも信用力がアップし、融資が受けやすくなることも。取引先の関係も同様で、法人にしたほうが取引がしやすくなることもあります。

 

メリット⑥ 赤字の繰り越し

 

青色申告を選択すると、赤字が発生した場合、9年間、繰り越しがOKとなります。個人の場合も繰り越しは可能ですが、上限は3年になります。

 

メリット⑦ 社宅の活用など、節税の範囲が広がる

 

住まいを社宅にし、家賃の経費化が可能となります。個人の場合も自宅で仕事をしていれば、家賃や光熱費などを経費として計上できますが、事業で使っている分(面積など)で按分する必要があります。

 

メリット⑧ 決算の時期を自由に設定できる

 

事業年度が1~12月で決まった時期に決算をしなければならない個人に対し、法人は決算時期を自由に設定可能。1年を通しての売上推移や繁忙期などを踏まえ、決算を実施することができます。

 

次回はデメリットについて見ていきましょう。

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    本連載は、2017年2月24日刊行の書籍『どんどん貯まる個人事業主のカンタンお金管理』(幻冬舎メディアコンサルティング)から抜粋したものです。その後の法律、税制改正等、最新の内容には対応していない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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    櫻井 成行

    幻冬舎メディアコンサルティング

    個人事業主にとって、日々のお金の管理や確定申告は、頭を悩ませることのひとつです。忙しい仕事の合間を縫って、毎年〆切ギリギリに何とか税理士に資料を提出する、という人も少なくないでしょう。数字や計算が苦手な人は特に…

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