精密さが求められる作業に支障が・・・
●CASE3 床下の空隙によって機械に振動が発生。不良品率が高まった
(機械部品メーカー・C社・工場)
振動が招く被害は、思わぬところに現れるものです。前回述べた機械設備への悪影響から、歯車を製造するメーカーで不良品率が高まった例をご紹介します。
歯車と一口に言っても、素材も大きさもさまざまなものがありますが、一般に機械に使われるサイズのものは鉄鋼製で、棒材を円盤状に切ってから削り出したり、鍛造でおおまかな形をつくってから歯を削り出すといったつくり方をします。
特に神経を使うのは歯の切削工作だそうで、信頼性・耐久性の高い歯車をつくるには、高精度に歯を仕上げなければいけません。しかし、そうした加工の歩留まりが悪化しているとのことでした。
同社では自ら工場内を検査。その過程で床に孔を開け、床下を調べてみたところ、そこに空隙が発生していることがわかったのです。その空隙のせいで、機械を作動させた時に通常以上に大きな振動が発生してしまい、そのために加工精度にばらつきが生じているというのが、調査の分析結果でした。
空隙を充填し、沈下した地盤を改良することで解決
普通、そこで考えられる対処は、建設会社を呼び、コンクリートを流し込んで空隙を埋めるという方法ですが、しかし、この工場の場合、もともとの地盤が弱く、コンクリートを流して新たに大重量がかかった際、さらに沈下が起こってしまう可能性がありました。
そこで、修正の仕方について私のところに相談に来られたのがきっかけで改めて調査をしてみると、すでに相当の沈下が起きていることがわかりました。空隙を充填し、沈下した地盤を改良したところ、機械の振動はなくなり歩留まり率は以前のレベルに戻ったとうかがっています。