床下の空隙による振動が深刻化 機械部品メーカーの事例

前回は、地盤沈下が原因となって発生した「振動」が、人や物に与える影響について解説しました。今回は、床下の空隙による振動が深刻化した機械部品メーカーの事例を見ていきます。

精密さが求められる作業に支障が・・・

●CASE3 床下の空隙によって機械に振動が発生。不良品率が高まった

(機械部品メーカー・C社・工場)

 

振動が招く被害は、思わぬところに現れるものです。前回述べた機械設備への悪影響から、歯車を製造するメーカーで不良品率が高まった例をご紹介します。

 

歯車と一口に言っても、素材も大きさもさまざまなものがありますが、一般に機械に使われるサイズのものは鉄鋼製で、棒材を円盤状に切ってから削り出したり、鍛造でおおまかな形をつくってから歯を削り出すといったつくり方をします。

 

特に神経を使うのは歯の切削工作だそうで、信頼性・耐久性の高い歯車をつくるには、高精度に歯を仕上げなければいけません。しかし、そうした加工の歩留まりが悪化しているとのことでした。

 

同社では自ら工場内を検査。その過程で床に孔を開け、床下を調べてみたところ、そこに空隙が発生していることがわかったのです。その空隙のせいで、機械を作動させた時に通常以上に大きな振動が発生してしまい、そのために加工精度にばらつきが生じているというのが、調査の分析結果でした。

空隙を充填し、沈下した地盤を改良することで解決

普通、そこで考えられる対処は、建設会社を呼び、コンクリートを流し込んで空隙を埋めるという方法ですが、しかし、この工場の場合、もともとの地盤が弱く、コンクリートを流して新たに大重量がかかった際、さらに沈下が起こってしまう可能性がありました。

 

そこで、修正の仕方について私のところに相談に来られたのがきっかけで改めて調査をしてみると、すでに相当の沈下が起きていることがわかりました。空隙を充填し、沈下した地盤を改良したところ、機械の振動はなくなり歩留まり率は以前のレベルに戻ったとうかがっています。

アップコン株式会社 代表取締役

1985年 武蔵工業大学(現 東京都市大学)建築学科卒業。
1988年 プラット・インスティテュート大学院(ニューヨーク)インテリアデザイン学科卒業。
1989年 オーストラリア・シドニーの大手建築設計事務所に勤務。日本担当部長として新規事業開拓を手がける。
1998年 設計施工一貫請負の会社をシドニーに設立。
2000年 特殊樹脂を使用する地盤沈下修正工法を知り、工法を習得。
2001年 同工法を用いた外資系土木会社の日本法人を設立。代表として、九州で事業を展開。
2003年 4月 独自に研究を重ね、ノンフロン材を用いた小型機械による新工法「アップコン」を考案開発。6月 アップコン有限会社(現 アップコン株式会社)を設立。代表取締役に就任、現在に至る。
2006年 EOY JAPAN 2006 ファイナリスト
2009年 ASPA Awards 2009 Excellence Prize 受賞
2012年 かながわビジネスオーディション2012 審査委員特別賞受賞、低CO2川崎パイロットブランド'11 受賞
2014年 奨励賞受賞(川崎市制90 周年記念表彰)

「夢の扉 ~NEXT DOOR~」(TBS テレビ)、「FNN スーパーニュース」(フジテレビ)、「ホンマでっか!? TV」(フジテレビ)など各種メディアにも多く取り上げられる。

著者紹介

連載事業の傾きを招く!? 工場・倉庫の「傾いた床」の問題

本連載は、2016年11月25日刊行の書籍『改訂版 不良品が多い工場の原因は地盤が9割』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

改訂版 不良品が多い工場の原因は地盤が9 割

改訂版 不良品が多い工場の原因は地盤が9 割

松藤 展和

幻冬舎メディアコンサルティング

4年前出版し関係者の間で話題沸騰したあの書籍が、「傾いた床」による様々なリスクを追加収録し、 【改訂版】としてパワーアップして帰ってきた! たった0.6度の床の傾きで、業務も傾く! 日本の建物の9割が地盤に起因…

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