機械が傷むだけでなく、建物そのものにもダメージが…
地盤の沈下が著しく、その一方で、床にかかる荷重がそれほど大きくない場合は、しばしば床下に空隙が発生します。
すると、床が浮いた状態になりますから、床上に作動量の大きな機械が置かれていたり、フォークリフトなどの運搬用車両が走ったりすると、建物の広い範囲に激しい振動が起きることがよくあります。また、その振動が原因となって、床の崩落につながることもありえます。
機械というものは、多少の差はあれ、作動すれば振動を伴うものです。それが床下の空隙によって増幅されますから、機械自体に悪影響が及び、保守点検・修理費が膨らむ事態になりかねません。また、振動によって建物の外壁にヒビが入ることもあります。
修理してもすぐに故障する。耐用年数まで持たない。建物の修繕費が突発的に派生する・・・というのでは、設備投資の計画が大きく狂いますから、経営を圧迫する要因になりかねません。
さまざまな健康被害を引き起こす、長時間の振動音
そして、振動は往々にして振動音という騒音を伴います。働く人は耐えがたい不快感にさらされることになるでしょう。
振動と健康被害の因果関係に関する専門的な研究によると、長時間にわたって振動音にさらされると、頭痛や頭重、不眠やイライラ、肩こり、胸の圧迫感、息切れ、めまい、吐き気など、さまざまな症状を自覚する人が多くなることがわかってきました。
さらに厄介なのは、振動は地盤を通じて、振動音は床下の空隙を通じて近隣に伝播するということです。
道路工事の振動が少し離れた場所にある建物の室内にも伝わるのは、誰もが経験していることかと思います。それと同じく、工場や倉庫で発生する振動は、多くの場合、10〜20メートル、広ければ100メートルの範囲で近隣にも伝わるといわれています。
平常時の機械振動なら何も問題が起きなかったところ、地盤沈下による空隙が原因で増幅された振動になると、都道府県が定める振動規制値を上回ることもあるでしょう。また、振動音が騒音規制を上回ることもありえます。
近隣から苦情がきても、原因がわからなければ対処のしようがありません。場合によっては、訴訟問題にまで発展しかねない危険をはらんでいるのです。