明確化が必要な、業務フローとサービス提供プロセス
前回に引き続き、中小企業の生産性向上を目指した、経済産業省作成の「ガイドライン」の内容を見ていきます。
「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」は、サービス業の9割以上を占める中小企業の皆様の為に策定された、より効果的に付加価値向上や効率向上につなげることを目的にしたガイドラインです。
ガイドラインに記載された具体的手法は主に上図の通りに分類されます。
今回は「2.効率の向上」の(9)サービス提供プロセスの改善、(10)IT利活用(効率の向上に繋がる活用)について紹介いたします。
(9)サービス提供プロセスの改善
業務フロー及びサービス提供プロセスを明確化することで可能となる経営状況の把握・分析・伝達を、迅速で的確な経営判断のためにも活用することが有効となります。
その一方、業務フローやサービス提供プロセスは重要な機密情報にあたることから、社内の情報管理の徹底や個人情報の保護など事業の安定継続のためのリスク管理体制を確保することも必要です。
[図表1]具体例
地域内で複数の店舗を持つホテルが、集中調理施設であるセントラルキッチンに調理を集約することで食事作りの効率化を図っています。また、ホテルの接客の忙しさに応じて、バックオフィスのスタッフも接客ができるよう人材教育を行うことで、部署を超えた対応が可能な人員体制をつくっています。
星野リゾートでは部屋食の廃止など、コスト改善に尽力
また、このホテルでは、下記のよう工夫もしています。
●見えるところにお金をかけて見えないところは標準化、効率化⇒食材費や人件費を削減すると顧客満足度が低下する
●再生の場合料理人が辞めることが多い⇒料理人全体に若い⇒8割の食材を千葉セントラルキッチンで作り冷凍して供給⇒地元の食材にこだわったメインディッシュとデザートで食事の評価が決まる⇒現場での調理に余裕、残り2割は現地の食材で時間をかけて良いものを作ることができる
●人手のかかる部屋食をやめる⇒レストランや食事処の増設⇒間仕切りないが、照明で間仕切りするため大食堂のイメージない
●女将も半分程度やめる⇒女将に依存しない仕組み⇒通常女将は年中無休⇒従業員のマルチタスク化で対応
●従来はフロント、調理、掃除などの特定の仕事だけをする⇒複数の仕事ができるようにする⇒抵抗を示す年配者⇒自発的に辞めていく
●顧客へのおもてなし⇒個人の判断でマニュアルに従うのは2割程度。最低限の顧客情報を共有
●リピーター専用のHP⇒宿を優先的に予約⇒6割がリピーター⇒顧客囲い込むカード発行しない。法人契約10%⇒マーケティングコストを削減しても顧客満足度は低下しない。リピーターは利益と満足度を両立させる上で重要。
(10)IT利活用(効率の向上に繋がる活用)
IT利活用の効果とあわせて、それに伴うリスクを認識し、それに対する適切な準備と対策を実施することが必要です。
[図表2]具体例