中小企業の決算書の信頼性向上を目的とする国の指針
中小企業の決算書の場合、節税や利便性が優先され、きちんとした財務報告がなされないことが多くあります。何が問題かというと、会社の正確な経営実態が反映されずに経営判断を誤ったり、自社の過去や同業者との比較が適切にできなかったりと決算書の信頼性が損なわれることが多いからです。
しかし、中小企業にとっては、税理士等に言われた通りにやっているところも多く、どこが問題なのかなかなかわからないのではないでしょうか。
そこで、国は中小企業会計要領(中小企業の会計に関する基本要領)や中小企業会計指針(中小企業の会計に関する指針)を示しました。
国の会計要領に沿った決算書を作成し、補助金を得る
たとえば、決算書の売上や利益を現金の出し入れのみで計上している場合があります。小売店のように、物が売れると同時に現金が入ってくる場合もあるでしょう。その場合は売上の計上と現金が一致しています。
ところが企業や学校などの法人に定期的に販売している場合、売掛金や手形の場合もあるでしょう。そうすると、売上は発生したけれども、お金が入ってくるのは相当後になります。
しかし、現金が入ってくるときのみ売上を立てていると、実態と合わなくなってしまいます。仕入れも同様です。それぞれの企業によってやり方が異なると、単純に比較ができなくなります。
上場企業の株やゴルフ場会員権等を会社で買って、資産として計上している場合も同様です。株やゴルフ場会員権は日々動いています。買った時の株価をそのまま載せている企業と、現在の価格に修正した企業とでは単純に比較はできません。
会計要領では、実態を決算書に反映させるというのが基本的な姿勢となっていますから、企業が同じ基準で決算書を作成することで信頼度が増すことになります。
国の補助金等においても、申請する企業が会計要領に沿った決算書で税金が納められているということは重要です。補助金によっては、この会計要領や指針に沿っているかどうかで加点要素となる場合もあります。