前回は、オーナー経営者の生命保険活用法として二つ目の考え方を説明しました。今回は、三つ目の「従業員の福利厚生を充実させる」という点について見ていきます。

支払った保険料の2分の1を経費にできる「養老保険」

前回の続きです。オーナー経営者の生命保険の活用方法として、三つ目の、従業員の福利厚生を充実させられることについて解説します。従業員が安心して働ける会社は中途退職者も少なく、社員一丸となって会社の発展に向かい努力できます。そのためには、福利厚生を厚くするのもよい方法です。

 

中には「従業員の福利厚生まで手が回らない」というオーナー経営者も少なくありませんが、実は従業員のために生命保険に加入することは、会社の利益にもつながるのです。生命保険で従業員の福利厚生を手厚くする方法には、養老保険やがん保険を利用する方法があります。

 

養老保険とは、被保険者が死亡したり高度障害状態になったときと、満期のときに同額の保険金が受け取れる保険です。たとえば、保険金額1000万円で期間10年の養老保険に加入すると、加入から10年後の満期までに被保険者が亡くなった場合には、1000万円の死亡保険金が受け取れます。一方で、無事満期を迎え、死亡保険金を受け取らなかった場合には、満期保険金として1000万円を受け取ることができます。

 

養老保険を福利厚生で利用する場合には、従業員を被保険者として、死亡保険金の受取人は従業員の家族、満期保険金の受取人は会社にして契約します。保険期間中に従業員が亡くなれば、遺族は保険金を受け取れます。

 

保険期間中は何事もなく、無事満期を迎えれば、会社は満期保険金を受け取ることができます。その資金を事業に利用できるのです。支払った保険料は2分の1を経費算入できますので、従業員の福利厚生を厚くしながら、利益の繰り延べもできるのです。ただし、この場合には、従業員が普遍的に加入しなければならないという制約があります。

養老保険よりも活用の制約が少ない「がん保険」

がん保険も、福利厚生を手厚くする方法として利用できます。がん保険には養老保険よりも制約が少ないというメリットもあります。それは、従業員全員が加入する必要はないということです。役員だけ、部長以上だけなど、社内でルールを決めて加入すれば、保険料の2分の1を損金にすることができます。

 

がん保険に加入した場合、加入した役員や従業員ががんに罹った場合には、診断一時金や入院給付金が受け取れます。しかも、がん保険の場合には、診断一時金や入院給付金を受け取っても解約返戻金が減少しない商品もあるので、解約返戻金は会社の事業資金などに利用することができます。福利厚生と利益の繰り延べの一挙両得の商品ということができるのです。

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    本連載は、2015年9月2日刊行の書籍『財を「残す」技術』 から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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