前回は、節税効果を得られる仕組みとして「オペレーティングリース」を説明しました。今回は、三つの「共済」を活用して節税効果を得る方法について見ていきます。

年間84万円まで掛け金が所得控除となる小規模企業共済

節税効果を得るためには、共済を上手に活用することが重要です。その共済とは、小規模企業共済、経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)、中小企業退職金共済の三つです。このうち小規模企業共済は役員個人の契約、残りの二つは法人で契約します。

 

小規模企業共済は、小規模企業の役員が退職金を積み立てるための共済です。年間84万円までの掛け金が所得控除の対象となります。たとえば、所得税・住民税等の税率が50%の経営者が加入すると、84万円×50%で42万円の所得税を軽減することができます。さらに共済金を受け取るときには退職所得として扱えますので、税率が通常の2分の1になるのに加え、退職所得控除が受けられます。ほとんど税金がかからずに受け取れるのです。

三つの「共済」は併用が可能

経営セーフティ共済は、取引先が倒産したときに連鎖倒産を回避するための共済です。毎月の掛け金は5000円から20万円の範囲で選ぶことが可能で、トータル800万円まで積み立てをすることができます。掛け金は全額を経費にすることができます。

 

この共済に加入すると、取引先が倒産して回収困難な売掛金が発生した場合に、貸し付けが受けられる仕組みです。解約したときには掛け金の返還を受けることができますので、結果として会社の利益を繰り延べる効果があります。

 

中小企業退職金共済は、中小企業が社員の退職金を積み立てるための共済です。毎月の掛け金は社員一人当たり3万円までを経費にすることができます。

 

これら三つの共済は併用できますから、フル活用すれば節税効果が得られます。会社の規模が大きくなると、加入できないケースもありますが、そのような場合は、オーナー経営者が資産管理会社などを設立して、その会社で利用することができます。

本連載は、2015年9月2日刊行の書籍『財を「残す」技術』 から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

財を「残す」技術

財を「残す」技術

齋藤 伸市

幻冬舎メディアコンサルティング

成功したオーナー経営者も、いずれは引退を考えなければいけない。そのときに課題になるのが、事業とお金をいかに残し、時代に受け継ぐかである。 保険代理店業を主軸として、オーナー社長の資産防衛と事業承継をコンサルティ…

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