「特例有限会社」を商号変更して株式会社へ移行する手続き

今回は、「特例有限会社」を商号変更して株式会社へ移行する手続きを見ていきます。※本連載では、不動産コンサルタントの山本芳治氏の著書、『マイナンバー法人番号と会社・法人登記簿の見方』(発行:アズミ、発売:ビジネス教育出版社)の中から一部を抜粋し、マイナンバー法人番号の基礎知識について解説します。

会社法のもと、株式会社として存続する特例有限会社

従来からあった有限会社は、会社法の制定により、「特例有限会社」として、有限会社の名前で会社法における株式会社として存続することになりました。

 

特例有限会社とは、旧有限会社法に基づいて設置され、会社法のもとで株式会社として存続する会社で、商号中に「有限会社」という文字を用いるものをいいます。会社法施行に伴う必要な登記は原則として登記官の職権で行われます。下記の図表1の見本例を見ながら説明します。

 

[図表1]特例有限会社の登記簿

 

 

※1

旧有限会社法では、公告の方法は原則として定款に記載する必要はなく登記もされていません。会社法では、株式会社において公告方法は定款の絶対的記載事項ではなくなり、定款の定めがない場合は官報によることとされました(939条4項)。したがって、公告の方法について定款の定めがない旧有限会社については、職権で※1の登記をすることとしたのです。

 

※2、※3

会社法では、株式会社は発行可能株式総数(株式会社が発行できる株式の総数)を定めなければならないとされています(113条1項)。そこで、旧有限会社については資本の総額を出資1口の金額で除して得た数を発行可能株式総数とする旨定めています。また、発行済株式の総数も同じ計算式で得た数がその総数とみなされ、職権で登記されています。

 

※4 、※5

出資1 口の金額は、会社法の株式会社にはない概念であるから職権で抹消され、資本金の額は旧有限会社の「資本の総額」が会社法の登記事項名に変更されました。

 

※6

会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(以下「整備法」)9条1項は、旧有限会社の持分の譲渡に関する規制と同様の状態とするために定款の定めがあるとみなし、職権で登記しています。

 

※7

「存立時期」から「存続期間」に呼称名が変更されましたが、実務で設けている会社は少ないです。

特例有限会社の商号変更による株式会社への移行

(1)定款変更手続

 

特例有限会社が、通常の株式会社となって会社法の適用を受けるためには、株主総会の特別決議によって定款を変更し、その商号中に「株式会社」という文字を用いる商号変更をすることになります(整備法45条1項)。

 

(2)登記手続

 

上記の定款変更をしたときは、本店の所在地において2 週間以内に特例有限会社については解散の登記をし、商号変更後の株式会社については定款を添付し設立の登記を申請しなければなりません(整備法46条)。

 

この商号変更登記はいわゆる効力要件としての登記なので、設立登記申請書の登記すべき事項欄にあらかじめ登記がされる年月日は書けません。そこで、登記申請の年月日を明確にするため、登記の事由欄に、手続終了の年月日を記載します。この年月日は商号変更の決議をした株主総会の日です。

 

登記すべき事項は、通常の株式会社の設立登記の登記事項に、旧有限会社の会社成立の年月日とその商号および商号を変更した旨も記載します。

 

(3)登記簿見本例

 

[図表2]特例有限会社の登記簿

①株式会社についてする設立の登記(整備法46条、会社法911条)

②特例有限会社の解散の登記(整備法46条)

登記と金融実務研究会 代表・不動産コンサルタント

1958年、信州大学卒業。1993年、芝信用金庫に35年間勤務の後定年退職。現在、登記と金融実務研究会代表・不動産コンサルタント。金融法学会会員。

著者紹介

連載経営者のための「マイナンバー法人番号」の基礎知識

マイナンバー法人番号と会社・法人登記簿の見方

マイナンバー法人番号と会社・法人登記簿の見方

山本 芳治

アズミ 発売元:ビジネス教育出版社

企業の経営者・総務担当者、金融機関の融資・渉外担当者必読。通知書が届かなかった会社・法人は、現状にあわせて、すみやかに所在地変更・商号変更の登記をしなければ、誤った情報提供がなされることに! 会社を存続させる…

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