「商号変更」と「本店移転」の登記の手続き

今回は、商号変更と本店移転の登記に関する手続きについて見ていきます。※本連載では、不動産コンサルタントの山本芳治氏の著書、『マイナンバー法人番号と会社・法人登記簿の見方』(発行:アズミ、発売:ビジネス教育出版社)の中から一部を抜粋し、マイナンバー法人番号の基礎知識について解説します。

「商号」の変更は、株主総会の決議が必要

商号の変更登記

 

会社法では、いわゆる「類似商号」の制度は廃止されましたが、会社法8条は、「何人も、不正の目的をもって、他の会社であると誤認されるおそれのある名称又は商号を使用してはならない」と規定していますので、商号を変更しようとする場合には、類似商号の有無を調査する必要があります。これに該当しないことが判明したら、商号は定款の絶対的記載事項ですから、株主総会を開催し定款変更の決議をすることになります。

 

株主総会の決議

 

この決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(3分の1以上の割合を定款で定めた場合にはその割合以上)を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の3分の2(これを上回る割合を定款で定めた場合には、その割合)以上に当たる多数によって決議しなければなりません(会社法309条2項本文)。

 

登記記録例

 

本連載の第1回目に掲載した、第一電気機器株式会社の商号変更登記(平成30年6月1日移転、平成30年6月5日登記)で確認してください。

「本店所在地」を定める方法は3つある

本店の移転

 

「本店所在地」は、「商号」同様、定款の絶対的記載事項の一つですが、定め方につ

いて以下の3つの方法があります。

 

1.東京都港区(または横浜市)

2.東京都港区新橋六丁目1番1号

3.横浜市港北区

 

1の方法は、本店の所在地を独立の最小行政区画(市町村をいう。ただし東京都の特別区の存する区域にあっては、区をいう)まで定めればよいので、この方法で定めていれば、同一市町村内での本店移転の場合には、定款の変更は不要で、取締役の決定(取締役会設置会社にあっては、取締役会の決議)のみで実施できるので、この方法で定める会社が多いようです。この場合でも他の最小行政区画に本店を移転する場合には、株主総会を開催して定款変更の決議が必要です。

 

2の方法は、本店の所在地を所在地番まで具体的に定める方法で、この場合には株主総会を開催して「本店所在地」を変更する定款変更の決議をしなければなりません。この決め方は、実務では少ないようです。

 

3の方法は、政令指定都市において独立の最小行政区画(区ではなく市)より詳細に定める方法です。この場合、他の区へ本店を移転しようとするときは、株主総会を開催して、「本店所在地」を変更する定款変更の決議をしなければなりません。

 

なお、1または3の方法によって本店所在地を定めている場合に、同一の最小行政区画内または政令指定都市の同一区内で移転しようとするときは、取締役会を開催して、新本店の所在場所(所在地番または○丁目○番○号)および移転の年月日を決議しなければなりません(2の場合には、本店移転の年月日を定めれば足ります)。

 

登記記録例

 

本連載の第1回目に掲載した、第一電気機器株式会社の所在地変更登記(平成30年6月1日変更、平成30年6月5日登記)で確認してください。

登記と金融実務研究会 代表・不動産コンサルタント

1958年、信州大学卒業。1993年、芝信用金庫に35年間勤務の後定年退職。現在、登記と金融実務研究会代表・不動産コンサルタント。金融法学会会員。

著者紹介

連載経営者のための「マイナンバー法人番号」の基礎知識

マイナンバー法人番号と会社・法人登記簿の見方

マイナンバー法人番号と会社・法人登記簿の見方

山本 芳治

アズミ 発売元:ビジネス教育出版社

企業の経営者・総務担当者、金融機関の融資・渉外担当者必読。通知書が届かなかった会社・法人は、現状にあわせて、すみやかに所在地変更・商号変更の登記をしなければ、誤った情報提供がなされることに! 会社を存続させる…

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