前回は、「育てる投資」で世界高配当公益株式を組み入れる理由を説明しました。今回は、なぜ単一国への投資や短期保有にリスクがあるのかを紹介します。

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単一国への投資で資産を守るのは難しい

グローバルな分散投資を行わずに単一国の株式に投資した場合、どのような事態が想定されるでしょうか。

 

下記の図表1はロシア株式のチャートです。2014年6月までは上昇基調にあったものの、ロシアの主要輸出品である原油価格の急落と歩調を合わせて、株価も大きく値を下げました。しかしその間、新興国株式はほぼ横ばいで推移しています。ロシア株も長期保有すればいずれ上昇するのかもしれませんが、やはり単一の投資対象に限った投資は短期で見ればリスクが大きいことが分かります。

 

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[図表1]原油価格とロシア株式の値動き(米ドルベース)

※期間:2013年12月末~2015年4月末
※ 原油価格:WTI原油先物、新興国株式:MSCI新興国株価指数、ロシア株式:MSCIロシア株価指数(すべ
て米ドルベース)
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
※期間:2013年12月末~2015年4月末 ※ 原油価格:WTI原油先物、新興国株式:MSCI新興国株価指数、ロシア株式:MSCIロシア株価指数(すべ て米ドルベース) 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

また、図表2は中国株式のチャートです。中国は景気減速の懸念が高まったことから、中国人民銀行(中央銀行)が景気下支えのために繰り返し利下げを行った様子が分かります。追加利下げに反応して株価は上昇に転じていますが、2015年6月中旬に大暴落。その後も8月に入って人民元の切り下げによる世界を巻き込んだ株価下落が起こっています。中国株チャートからも単一国に賭けることの危うさが理解できるでしょう。

 

[図表2]中国株式の値動きと金融緩和

※期間:2013年7月末~ 2016年7月末
※中国株式:上海総合指数(現地通貨ベース)、預金準備率は大手銀行に対するレート
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
※期間:2013年7月末~ 2016年7月末 ※中国株式:上海総合指数(現地通貨ベース)、預金準備率は大手銀行に対するレート
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

長期保有でリスクは大幅に減らせる

ロシア株式や中国株式の例で、単一資産の短期保有はリスクが大きいということは明確になったと思いますが、世界の高配当利回りの公益株であれば短期保有でもリスクを抑えることができるのでしょうか。

 

図表3の、世界高配当公益株式の保有期間別収益率を見ると、世界高配当公益株式は、1994年12月末~2016年7月末の20年余りの間の期間中で、7年以下の期間で投資した場合、最悪のタイミングに当たってしまうと最低値がマイナスとなっています。

 

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[図表3]世界高配当公益株式の保有期間別収益率

※期間:1994年12月末~2016年7月末、月次
※世界高配当公益株式:MSCI世界高配当公益株価指数(円換算)
※実際に投資信託を保有する場合、その期間中は信託報酬等の費用が発生します。こうしたことから、上記の保有
期間別投資リターン(年率)は、便宜的にピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)の信託報酬率等を
含む実質的な負担(最大年率1.788%(税込み))相当分を控除して算出しています。
出所 : トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
※期間:1994年12月末~2016年7月末、月次 ※世界高配当公益株式:MSCI世界高配当公益株価指数(円換算)
※実際に投資信託を保有する場合、その期間中は信託報酬等の費用が発生します。こうしたことから、上記の保有 期間別投資リターン(年率)は、便宜的にピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)の信託報酬率等を 含む実質的な負担(最大年率1.788%(税込み))相当分を控除して算出しています。
出所 : トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

1年の最低値はマイナス45・8%、3年はマイナス20・2%、5年はマイナス13・4%、7年はマイナス3・0%です。ところが10年投資し続ければ最低値はプラス0・1%とプラス側に移り「負け」はなくなります。平均値も3年や5年に比べて遜色がありません。この結果が示しているように長期保有することでリスクは大幅に減らすことができるのです。

 

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