個人金融資産に占める外貨の比率が極めて低い日本人
私は、2011年にアメリカのフロリダ州でコンドミニアムを購入し、海外不動産投資を開始しました。さらに2013年には、アメリカ(テキサス州)、マレーシア、カンボジアの3カ国で不動産を購入しました。そして、2014年もさらに別のエリアで投資をしようと考えています。このように海外投資を加速させている理由は、日本人を取り巻く、マクロ経済環境が大きく変わっていると考えるからです。
また、海外投資の中でも、投資信託のような金融商品ではなく、実物不動産へ資産シフトをしているのにも理由があります。本連載ではまず、なぜ海外投資が必要なのか、そして、その中でも実物資産である海外不動産に注目すべき理由について説明します。
まず、現在の日本人の資産構造には大きな問題があります。下記の図表は、日本銀行が発表している個人金融資産の配分状況です。これを見ると日本の個人金融資産の約54%が円の預貯金・現金に、そして約27%が保険・年金になっていることがわかります。
[図表]日本人の資産構造
つまり、資産の8割以上がリスクを取らない安全資産に配分されていると言えるのです。株式への投資は、資産全体の10%程度にすぎません。さらに、問題なのは、個人金融資産に占める外貨の比率が極めて低いことです。この図からはわかりませんが、日本人が保有する金融資産の9割以上は円になっています。外貨資産は10%以下にすぎないのです。
円安を予想しつつ、円に偏った資産を持つ矛盾
円に極端に偏った資産構造は、円高局面では保有している円の価値が他の通貨に対して上昇していくので、資産全体の価値が増えていきます。しかし、円安が進むとどうなるでしょうか。円安とは円の価値が他の通貨に対して下がっていくことですから、資産全体にマイナスの影響があります。
今後、円安になるのか、円高になるのかを予想するのは簡単ではありません。しかし、もし円安か円高かまったくわからない、五分五分というのであれば円資産と外貨資産を半分ずつ保有するのが合理的な資産配分です。
円資産に9割以上偏っているというのは、かなり強い確信を持って円高を予想する人が取るべき資産運用の方法です。しかし、日本人の多くは、将来的には円高ではなく円安を予想しています。円安を予想するのに、円高を確信する資産配分を行っている。思っていることとやっていることが、ズレている危険な状態です。