勤務医から開業医を目指したいが、独立して成功できるか不安――。本連載では、自己資金ゼロからローリスクで「儲かるクリニック」を開業する方法をご紹介します。

人々が求めているのは「行きつけのクリニック」

勤務医から開業医となることで増える仕事はいろいろありますが、中でも大切なのが集患になります。集患といっても、広告を打ったり、宣伝に顔を出したりするだけではありません。

 

実は、最も大切な集患は、開業前に行われています。それは、立地の選定です。

 

そもそも、患者はどのようなときに、どのようなクリニックに行こうと思うのでしょうか。魚屋や八百屋であれば食材がなくなったり欲しい食材ができたりしたときですが、診療所の場合は、具合が悪くなったときです。では、体調を悪くしたときに、どこのクリニックに行こうと考えるのでしょうか。

 

もしも行きつけやかかりつけのクリニックがあるのだとすれば、当然そこに行こうとするでしょう。すでに診てもらっているところは、カルテも残っていますし、医師の人柄もわかっているという安心感があるからです。この時点で、新規開業のクリニックは、集患において不利であることがわかります。なぜならば、多くの人は新しいクリニックよりも慣れ親しんだクリニックを使いたがるからです。

8~9割の患者は半径3㎞以内から来院している

では、かかりつけのクリニックがなかったり、あるいはたまたま休みだったりして、他のクリニックに行かねばならない場合は、どうするでしょうか。たいていの人は最も近いクリニックを探して行こうとします。なぜかといえば、具合の悪いときに、わざわざ遠いところまで出かけたくはないからです。

 

ですから、クリニックの集患の基本は、一にも二にも立地です。

 

そのクリニックに来院する患者の分布を、一般に「診療圏」と呼びます。そして、どのクリニックでも、8~9割の患者はクリニックから半径3㎞圏内から、また、車を使うのが難しい都心部のクリニックであれば7~8割が半径1㎞以内から来ているというデータもあります。

 

つまり、その診療圏内に、どれだけ潜在的な患者がいるのか、また、競合するクリニックが他にないかが重要なポイントになってきます。もっとも重視すべきは、クリニックの半径1〜1.5㎞圏内です。この範囲を診療圏として、患者対象になる人数と競合クリニックを調べます。さらに半径3㎞、そして5㎞と範囲を広げて見ていくことが重要です。

本連載は、2017年1月26日刊行の書籍『自己資金ゼロ・ローリスクで 儲かるクリニックを開業する方法』(幻冬舎メディアコンサルティング)の本文から一部を抜粋したものです。

自己資金ゼロ・ローリスクで 儲かるクリニックを開業する方法

自己資金ゼロ・ローリスクで 儲かるクリニックを開業する方法

市川 直樹

幻冬舎メディアコンサルティング

勤務医は慢性的な医師不足で時間外の労働が多く、給与も働きに見合わず、過酷な労働環境におかれています。 一方、そうした状況から理想の医療の実現を目標に開業する医師もいますが、都市圏のクリニックは今や乱立状態にあり…

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