独立開業したクリニックは「ひとつの組織」
独立開業するに当たって、最初に意識してほしいことは、何のためにクリニックを開業するのか、ということです。
もちろん、勤務医の仕事が肉体的に辛すぎるとか、自分の仕事に対してもっと金銭的な報酬がほしいというような理由は、誰の心のうちにもあるでしょうし、それが間違っているとは思いません。
しかし、経営を軌道に乗せて、成功するクリニックを作るためには、それだけでは理由としては不足です。なぜならば、医師一人の利己的な願望だけでは、スタッフがまとまらないからです。
独立開業したクリニックは、ひとつの組織です。その組織を円滑に動かすためには、全員が共有できる目標や理念が必要です。もし、全員が給料のためだけに働いているのであれば、誰も(自分の考える)時給分以上の仕事をしようとしないでしょうし、そうなればスタッフの成長も、組織の成功も期待できません。
成功する組織には、必ずみんなが共有できる理念と目標があります。
その中身は、クリニックによってさまざまです。
「この街の地域医療の要となる」でも良いですし、「感染予防に取り組んで、風邪の発生確率を減らす」でも良いでしょう。「地域で一番のクリニックになる」もありですし、「10年間で5つの分院を作って日本の医療に貢献する」でも構いません。
いずれにしろ、経営ではなく、患者のため、地域のため、医療の本分に則った目標があれば、医師とスタッフの気持ちがひとつになります。
開業を決意した医師が追求する「理想の医療」
私も、数多くの医師の話を聞いてきましたが、皆さんが本当にやりたいのは、自分の思うような理想の医療の追求です。
一勤務医の立場では発言力もなく、勤務先の病院すら変えられないとなったとき、独立して成功することで医療業界に一石を投じられるかもしれないと、開業を決意される医師の方もたくさん見てきました。
そのような医師の方がやりたいのは、決して、小さなクリニックで生活費を稼ぐことにはとどまりませんし、経理やレセプトの作成やスタッフの採用や業者との折衝に、頭を使うことでもありません。理想の病院を作るための体制は整えたいものの、日々の雑務や運営業務は、できれば他の人が行うべきなのです。
私の会社では、そのような医師の方のために、コンサルティングとクリニック経営支援を行っています。総務、人事、経理、労務などの仕事は、医師がやるべき仕事ではありませんし、信頼できる第三者に任せられるものです。
私の会社は、長年、中小企業の経営とコンサルティングを行ってきた、経営のプロフェッショナルです。10年以上、中小企業の経営に携わってくれば、雇用した人たちがどのような問題を抱えていて、どのような不満を抱き、仕事を続けていくうえでどんなことにつまずくのか、たいていのことは見えてきます。
クリニックも、またひとつの中小企業ですから、私の経験をおおいに活かすことが可能でした。経営というものは、個々の企業によって多少の違いはあれども、その要点はすべて同じです。
そして、理想の医療が実現できるとどうなるか。患者満足度が高まり、口コミが広がり、さらに多くの患者が集まるようになります。不思議なもので、理想を実現しようとすると、その分儲かるのが医療というビジネスなのです。
たとえこれまでは年収が1000万に満たなかったとしても、2倍にも3倍にもすることが十分可能なのです。
あなたは、なぜ独立開業を考えられたのでしょうか。独立開業によって、得たいものは何なのでしょうか。あなたが本当にやりたいことをやるために、クリニックの開業支援と経営コンサルティング会社の活用を考えてみるべきなのです。
[図表]クリニック運営の業務を分担する