院長、院長夫人に不満は言えないが…
前回の続きです。
ですが、多くのケースでは、経営がうまくいかないことがストレスになって、医療の質を落としてしまうことが散見されます。
家族経営の小さなクリニックだからといって、家族ではない他人のスタッフを雇っている以上、「経営」と無縁でいられるわけではないのです。
特に問題になるのが、スタッフが抱く大小の不満です。仕事のやり方や忙しさ、給与、人間関係など、仕事をしていれば、スタッフはどうしても不満を持つものです。
しかし、院長先生と院長夫人が経営陣として絶対的に現場を取り仕切っている場合には、そのような不満を公然と口に出すわけにはいきません。やり場のない不満はストレスとなってたまっていって、職場の雰囲気を悪くしてしまいます。
このようなときには、家族ではない第三者が経営陣に入っているだけで、風通しは良くなるものです。直接、院長先生や院長夫人にはいえない不満も、第三者である上司にならいえるときがあります。その第三者が十分に実力と裁量権を持っていれば、院長夫婦の手を煩わせることなく、問題を解決できることもあります。
クリニックの人間関係を円滑にする「コンサルタント」
それが経営コンサルティング会社の存在意義になります。第三者であるコンサルタントが間に入ることで、クリニックの人間関係はずっとスマートになります。
だからといって、院長夫婦が蚊帳の外に置かれるわけではありません。もちろん、院長先生のもとへはすべての報告は挙げて、クリニックの現状を把握してもらいますが、その過程でストレスをためることなく、医療に専念してもらうことが、経営コンサルティング会社の役割です。
昨今、中小企業でもコンプライアンスが厳しくいわれるようになりました。コンプライアンスのある経営の要点は、公平性と透明性です。家族経営では、どうしても経営者が何かを隠しているように思われがちですが、第三者である経営コンサルティング会社に入ってもらうことで、そのような後ろ暗さを回避することができるようになります。
[図表]家族経営の問題点