前回は、ベトナム最南端の秘境、フーコック島のリゾート開発について紹介しました。今回は、引渡が始まっているコンドミニアムに関する、外国人オーナーとしての注意点を取り上げます。

引渡後のクレームには、一切対応してもらえない

2015年7月1日の住宅法改正後以降、外国人が容易に購入できる不動産プロジェクトが売り出しを開始し、日本人を含む多くの外国人が購入しました。現在、その当時に購入した物件の引渡が始まっています。

 

今回は、引渡真最中の現地から引渡時の注意点やこれから外国人オーナーが気を付けなくてはいけない事やベトナム政府の手続き等についてお伝えします。

 

●物件引渡の注意点

 

契約書に記載されている物件引渡の時期に伴い、デベロッパーからの案内状が届きます。
各デベロッパーとの契約内容により異なりますが、弊社が取り扱っているデベロッパーは、大半が契約書に記載している引渡予定日を超えて最大90日以内に引渡を完了しなくてはいけない規定になっています。この条件を超えると、違約金の発生や、更には契約解除が可能になる条件などが謳われています。そのため、デベロッパーや建設請負会社は躍起になって物件の引渡を迫ってきます。

 

まずは引渡期間の指定です。引渡の目途が立って来ると、デベロッパーは郵送もしくはメールにて、引渡期間を知らせてきます。

 

ここでの注意点は、必ず引渡期間内に確認する、確認が難しい場合は日程の変更を要請する、自分が確認できない場合も引渡確認を別の人もしくは業者に委任するなど、「確実に引渡を確認する意思」を伝えることです。

 

これを怠り、引渡期間を過ぎてしまうと、自動的に引渡が完成したことになるよう記載されています。

 

ここで問題なのが、引渡時点でも、汚れや傷、錆、塗装ムラや破損が多く見受けられることです。弊社も大半の物件引渡に立ち会ってきましたが、1回ですんなり引渡を完了した物件は1つもありません。ほとんどが、2回~3回のやり直しを行ってから引渡書にサインをするという状況です。

 

よって、引渡での確認を怠ったり、完成していないのに引渡書にサインをした場合は現状の状態で引渡が終わったことになり、後からやり直しのクレームを入れてもデベロッパーは対応しません。すべては引渡書にサインをしたオーナーの責任で対応しなければならない状況になります。くれぐれもご注意ください。


●物件引渡後の注意点

 

物件引渡が無事に済んだ後、最初にオーナーが行う事は物件用途の取決めです。住居用に使用するのか、投資用として賃貸するかです。

 

オーナーが住居として使用する場合は比較的簡単で(滞在許可書の保有がある場合)、購入住居地域管轄の公安に住居申請手続きを提出し許可を取れば住居として使用する事が可能です(法人の場合は別途、関連機関に申請必要)。

 

賃貸として運用する場合は、購入住居地域管轄機関(ホーチミンであればホーチミン市天然資源環境局、若しくは指定する支部)に賃貸許可申請書を提出し、受理後、賃貸としての運用が開始できます。同時に、レットインボイス(ベトナム政府公認領収書)の発行許可も行い、入居者に対しては住居時と同じく、所轄の公安に入居者申請を行わなくてはなりません。

 

ここでの注意点は、賃貸許可申請を行わないで賃貸業務をした場合、罰則と罰金が科される点です。特に外国人の場合は罪が重く、悪質な場合は国外退去もあり得るので、くれぐれも法律を遵守し、対応する必要があります。

外国人への建物権利書の発行は大幅に遅れる可能性も

●建物権利書(通称ピンクブック)発行の注意点

 

ベトナムでは、土地使用権証書(通称レットブック)と建物権利書(通称ピンクブック)と言われている、不動産取得時に必要な権利を証明する制度があります。

 

コンドミニアムを購入した場合は、建物権利書(通称ピンクブック)が発行されます。通常のデベロッパーとの契約では、購入残金5%を残し、ピンクブック発行時に残金を支払い、販売契約が完了することになっています。

 

ここで注意すべき点は、各デベロッパーが説明しているピンクブック発行までの期間です。各社によって異なりますが、当初は引渡から3ヶ月~6ヶ月には完了すると発表してはいますが、これはベトナム人向けであり、外国人の場合は大幅に遅れる可能性が高いのです。

 

その原因は発行機関です。ベトナムは日本と同様に縦割り行政のため、外国人の場合は発行までに複数の機関での承認が必要であり、また、2014年からの大型プロジェクトの引渡時期が重なったことで、行政処理に時間がかかることが懸念されています。引渡からピンクブックの発行までは、1年~2年程度かかるのではないかと予想されているのです。

 

●外国人に投資開放していない地域の注意点

 

もうひとつ、問題となる可能性が指摘されているのが、以前も記載した、外国人が投資できない地域(住宅法改正によって国防や安全保障に関わる地区に指定され、外国人に投資開放していない地域)に投資していないかということです。これについてもしっかりと確認する必要があります。引渡が終わったのに政府から許可が下りない・・・ということになれば、それこそ一大事です。

 

外国人購入解禁から2年弱。いろいろな問題も発生すると思いますが、今後も現場からの視点で随時お伝えしてまいります。

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