今回は、株価チャート分析の基本となる「ローソク足」の読み方を見ていきます。※本連載は、株式アナリストとして知られる秋津学氏の著書、『勝率9割5分を目指す 株価チャート黄金練習帳』(毎日新聞出版)の中から一部を抜粋し、株式投資で勝つためのチャート分析のポイントを具体的にご紹介します。

上昇相場と下降相場を表す「陽線と陰線」

●ローソク足とは何か

株式市場では、1日の取引が始まってから終了するまでに値段は上げ下げします。取引所のルールで、値段の上限・下限はありますが、その範囲内で値段がついていきます。この値段の動きを視覚的にとらえやすく表記し、その表記の連なりで、将来の株価や銘柄の方向性を予測するために工夫されたのが、「ローソク足」です。始値(はじめね)、高値(たかね)、安値(やすね)、終値(おわりね)という4本の値段が、1本のローソク足をつくります。

 

例えば、1日の値動きを表すローソク足は「日足(ひあし)」と呼ばれますが、次のような意味をもちます。

 

始値:最初の株価

高値:一番高い株価

安値:一番安い株価

終値:最後の株価

 

始値より終値が高いローソク足は「陽線(ようせん)」と呼ばれ、上昇相場を表します。反対に、始値より終値が安いローソク足は「陰線(いんせん)」と呼ばれ、下降相場を表します。

 

始値と終値が同じで、ザラ場(取引時間)で値段が上下した場合は、「十字線」を形づくります。これは「迷い線」とも呼ばれる「転換暗示」のシグナルです。ローソク足の白や黒で表示される「本体」部分の上か下に短い線が出ているように描かれる陽線や陰線がありますが、この線を「ヒゲ」と言い、上の部分を「上ヒゲ」、下の部分を「下ヒゲ」と呼びます。

 

[図表1]ローソク足の形

 

こうしたローソク足ができあがるには、株価の動きが必要です。上下にヒゲをつけた陽線・陰線は、形自体は、それぞれ一種しかないのですが、下記の図表2で示すように、実際には、株価はおよそ2通りの動きをします。

 

[図表2]日足の陽線・陰線の内部の動きがわかる

 
 

<POINT>

同じ陽線、陰線に見えても、株価はローソクの実体部分とヒゲで上げたり下げたりしているので、その日中足を細かく見ると株価の勢いがわかる。

知りたい情報で、使うローソク足の時間軸は異なる

●分足、日足、週足、月足の特徴と役割

日足は、1日の足なので、さらに細かい動き、例えば、ザラ場の動き、それも5分単位とか10分単位での動きを見たければ、「分足」が必要になってきます。分足には、1分・3分・5分・10分足などがあり、何を知りたいかによって使うローソク足時間軸が異なります。

 

前場(午前の取引時間)150分、後場(午後の取引時間)150分の取引時間がありますから、1分足は300本、3分足は100本、5分足は60本、10分足は30本で構成されています。

 

分足、日足のほかに、1週間ごとにひとつのローソク足を描く「週足」、ひと月に1本のローソク足を描く「月足」、1年で1本のローソク足を描く「年足」などがあります。証券会社のネットを通じた取引口座では、デイトレーダーのために時間軸の異なる分足チャートを用意し、細かい動きを把握できるように便宜を図っています。

 

それぞれのローソク足は期間が異なりますから、投資家の展望に大きな影響を与えます。目先の短期売買を行う投資家は、分、日足を使い、中期スタンスの投資家は日、週足を使い、長期は週、月足を使うというふうに分けられます。

 

①分足

デイトレーディングでは必須のローソク足。分単位での変化を見てスピーディな判断をしなければならないからだ。ただ、短期・中期のスタンスの人も、トレンドが変化するのを見る場合、細かいチャートの変化を知るために分足を見ることもある。

 

[図表3]5分足 三越伊勢丹HD(3099)

 

②日足

日々の株価の動きを見る場合に欠かせないのが日足。1本の日足が翌日の株価の動きを示唆することもある。ただし、1本大きな陽線ができたから、翌日は必ず上げる・・・というような単純なものではない。同じ大きな陽線でも、たくさんの出来高を伴って、陽線がつくられたのと、薄商いの中、似た陽線の形ができたのでは違う。「移動平均線」や「出来高」を合わせて、三位一体的に総合的に判断しなければならない。

 

[図表4]日足 三越伊勢丹HD(3099)

 

③週足

週足は、株価のトレンドを把握するときや、それを利用して、値幅取りをするときに使う。週足をトレンド把握のために使うことは、その投資家が中期展望にいることを意味している。買いポイントが前後2~3%ぐらいぶれても目をつむり、トレンドに乗って値幅を取るほうが有利だと見る。そのときに使うのが、週足であり、日足だ。

 

[図表5]週足 三越伊勢丹HD(3099)

 

④月足

月足は、年に12本。銘柄の大局的な動きを見るにとどまる。1年にわたって、ほぼ12本の陽線を立てることがある。逆に12本の陰線を立てて、その1年買い向かった人は散々であった、という相場もある。こうした超長期なローソク足は、歴史的な高安の株価のときに、利用され、株価の大きな周期を把握するためや、時代の流れを読むために使われる。

 

[図表6]月足 三越伊勢丹HD(3099)

 

<POINT>

一般的にいえば、分足・日足は短期、日足・週足は中期、週足・月足は長期的投資を行うときに使われる。

勝率9割5分を目指す 株価チャート黄金練習帳

勝率9割5分を目指す 株価チャート黄金練習帳

秋津 学

毎日新聞出版

株価チャートによる儲け原理は、株をできるだけ安値で買って、高値で売る、ということに尽きます。そのために、チャートが示唆する売買シグナルや株情報、市場の地合い、企業業績などで判断します。そして、配当やファイナンス…

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