なかなか明るい兆しが見えない日本経済
日本はもう長いこと不況が続いています。日本総研の経済・政策レポート(日本経済展望2016年8月号)には、日本経済は2012年末から持ち直しに転じ、緩やかな回復基調が続いているものの、2016年に入ってからは、足踏み状態と書かれています。英国のEU離脱など海外経済の不確実性の高まりや、円高・株安などの影響で、景況感そのものが下振れしているようです。
また、個人消費も相変わらず低迷が続いているとのこと。企業収益に陰りが見られ、家計所得においても、賃金の伸びが緩慢な一方で、物価や社会保険料は上昇していますから、われわれが財布の紐を締めるのも当然のなりゆきと言えます。
政府は「景気がよくなる」「もう少しの辛抱だ」と、私たちに希望を持たせようとしてくれますが、現実問題として目の前に横たわっている状況は「厳しい」ものです。出口の見えない閉塞感を、私も含めて多くの経営者が実感しているのではないでしょうか。
30年後まで生き残る企業は0.02%
いつまでも回復しない経済状況の中で、私たち中小企業は生き残りをかけた消耗戦を強いられています。倒産や廃業の噂は日常的に耳にしますし、実際、周りを見渡しても順調な会社はごく一部なのではないでしょうか。
中小企業の生き残りが厳しいことは、数字の上からも明らかです。2016年版の『中小企業白書』によれば、中小企業の数は長期にわたり減少傾向にあります。2012年から2014年にかけては、4.4万社の減少だそうです。特に小規模事業者では廃業数が開業数を大きく上回り、2年間で9.1万者も減っています。業種別でみると、医療・福祉、卸売業については増加していますが、小売業をはじめ多くの業種で企業数が減少しています。
また、国税庁のデータベースを見てみても、95%の中小企業が設立から10年以内に消滅しているそうです。10年後も存続していられるのは、ほんの5%。30年後まで生き残れる企業となると、たった0.02%という少なさです。1万社のうち、たった2社しか生存できないという現実にたじろがずにはいられません。それでも、私たちは〝その2社〞を目指して、今日も生き残り競争を戦っていくしかないのです。
【図表1】 中小企業数の推移
出典/経済産業省『2016 年版中小企業白書』
資料/総務省『経済センサス- 基礎調査』、『事業所 企業統計調査』、
総務省・経済産業省『平成24 年経済センサス- 活動調査』
備考/
1.企業数=会社数+ 個人事業者数とする。
2.2009 年、2014 年の『経済センサス- 基礎調査』の調査時点は7 月1 日であり、
2012 年の『経済センサス- 活動調査』の調査時点は2 月1 日である。
3.経済センサスでは、商業・法人登記等の行政記録を活用して、
事業所・企業の補足範囲を拡大しており、本社等の事業主が支所等の情報も
一括して報告する本社等一括調査を導入しているため、『事業所・企業統計調査』
による結果と単純に比較することは適切ではない。
【図表2】 中小企業の業種別変化(2012年→2014年)
出典/経済産業省『2016 年版中小企業白書』
資料/総務省『平成26 年経済センサス- 基礎調査』、
総務省・経済産業省『平成24 年経済センサス- 活動調査』
備考/
1.その他サービス業は、学術研究、専門・技術サービス業、宿泊業、
飲食サービス業、生活関連サービス業、娯楽業、複合サービス事業、
サービス業(他に分類されないもの)の合計。
2.その他は、鉱業、採石業、砂利採取業、電気・ガス・熱供給・水道業、
情報通信業、運輸業、郵便業・金融業・保険業の合計。