前回は、分散投資の基本的な考え方を、具体的な事例をもとにして説明しました。今回は、分散投資においては、何を分散するのか、という点を見ていきます。

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分散の対象となる4つの主な要素

「分散投資」と一言で表現しても、何を分散するかによって、その内容は変わってきます。以下、分散の対象となる4つの主な要素を見てみます。

 

①地域(国)の分散
日本だけではなく米国や欧州などの先進国や、東南アジアなどの新興国も含めて、どのような地域に投資をするかを検討します。

 

②商品の分散
株式、債券だけではなく、REITや金などのコモディティ、ヘッジファンドなどのオルタナティブ商品なども含めて、どのような商品に投資をするかを検討します。

 

③時期の分散
資産を一時に集中投資してしまうと、市場が大きく下落した場合、資産が大きく目減りしてしまいます。その対応として、購入時期を分散します。たとえば、定期的に同じ金額を積立投資する「ドルコスト平均法」という手法があります。この手法では、価格が安いときは量を多く購入し、価格が高いときは量を少なく購入する逆張りの効果もあわせて、平均取得価格を抑えられることが期待できます。

 

④期間の分散
それぞれのライフサイクルおいて、資金ニーズが生じる時期は異なってきます。そのため、一つの期間に絞って投資をするのではなく、短期/中期/長期と期間を分散することも検討されます。

 

以上をまとめると、投資対象をグローバルに分散(グローバル分散投資)し、投資のタイミングを分散し(ドルコスト平均法による積立)、短期のみならず長期間の投資をすることが、負けないための運用手法であると考えます。

 

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資産の大きな目減りを防ぐのが目的

長期的な資産形成を実現するには、一見退屈に思える運用方針でも、それを守り抜くことが必要です。

 

例えば、投資でマイナスが33%出てしまった場合、そこから元(投資した金額)に戻すには、50%のプラスが必要(100×33%=33 100-33=67 67×50%≒33 67+33=100)ですが、マイナスが10%の場合は、11%の上昇で元の金額に戻ります。つまり、なるべく大きな下落を避けることが肝要なのです。

 

この点で、分散投資は下ブレのリスクを抑制し、資産の大きな目減りを避け、着実に資産を増やすことを目標とした運用手法のひとつです。

目安となる「100-年齢=リスク資産の比率」の計算式

運用成果に最も重要な影響を与えているには、資産配分(アセット・アロケーション)だと言われています。投資の成否を決める要因において、個別銘柄の選択や売買のタイミングなどが占める割合は2割程度に過ぎず、約8割は資産配分によって決まるという研究結果もあります。

 

資産の大きさ、リスク許容度、投資目的、運用期間(年齢)などによって、適切な資産配分は、人それぞれで異なります。とは言っても、目安が全くないわけではなく、例えばリスク許容度については「100-年齢=リスク資産の比率」という考え方があります。ここから分かるのは、投資期間を長く取れる若い人ほど、リスク許容度は高く、反対に高齢であればリスク許容度は低いということです。

 

具体的には、30歳の人であれば「100-30=70」で、リスク資産(株式等)の比率を70%に高めても許容されやすい一方で、70歳の人はリスク資産の比率を30%に抑え、残り70%は低リスク資産(債券等)に配分することが薦められます。

 

もちろん、ライフイベントなど他の要因なども考慮して、各人がそれぞれの投資スタイルを検討することが大切です。

 

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本連載は、一般的な投資信託の仕組みなどを紹介することを目的にしています。投資を促したり、筆者が所属する「幻冬舎アセットマネジメント」に勧誘することを目的としたものではありません。また、投資にはリスクがあります。リスクに十分に考慮をして、投資判断を行ってください。本連載の内容に関して投資した結果につきましては、著者及び幻冬舎グループはいかなる責任も負いかねます。

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