前回は、2017年10月に金融庁が発表した「平成28事務年度 金融レポート」から、「投資信託」の販売における課題を取り上げました。今回は、人生100年時代における、「有形資産」の運用について見ていきます。

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2007年に生まれた子どもの平均寿命は「107歳」!?

2016年10月に発刊され、昨年、話題になった本で、人生100年の長寿時代の生き方を説いた、リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット著『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』をご存じでしょうか。原書タイトルは、『The 100-Year Life』で、人生100年時代の長寿社会をどうやって生きるのかを論じた本です。

 

この本によると、過去200年間、平均寿命は10年毎に2~3年のペースで延びてきたといいます。いま先進国で生まれる子供は、50%を上回る確率で105歳以上まで生きることになります。1世紀以上前に生まれた子供が105歳まで生きる確率は、1%に満たなかったにもかかわらず、です。いま20歳の人は100歳以上、40歳の人は95歳以上、60歳の人は90歳以上まで生きる確率が50%以上あるとのことです。

 

そして長寿大国日本では、2007年に日本で生まれた子供の半数は、107歳まで生きると予測されています。

 

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[図表]長寿大国日本の現状

出典:厚生労働省「平成28年 簡易生命表」より作成
出典:厚生労働省「平成28年 簡易生命表」より作成

 

『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』では、これまで一般的であった「教育→仕事→引退」といった「3ステージ・モデル」が、長寿時代には適合できなくなると指摘しています。

 

3ステージ・モデルというのは、20代前半ぐらいまでの「教育ステージ」、その後60歳ぐらいまでの「仕事ステージ」、その後の余生を過ごす「引退ステージ」という非常に画一的な人生のことです。このステージに合わせるように、教育、労働、年金制度なども作られています。

 

しかし、人生100年時代においては、そのステージ1つ1つが長くなるということです。それに伴い、複数のステージを転々とする「マルチステージ」な人生の可能性が高まります。これが『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』です。

定年後の人生が「20年」から「40年」へ

本書では、有形資産(不動産、有価証券、現預金など)との対比で、「無形資産」の大切さに言及しています。

 

無形資産というのは見えないものですが、①所得を得るための「生産性資産」、②肉体的・精神的な健康を維持するための「活力資産」。これは友人関係、パートナーや家族との人間関係なども入ってきます。そして、③世の中の変化に合わせるのに必要な資産「変身資産」、この3つが重要になると述べています。

もちろん、これら「無形資産」について意識していくことは重要ですが、「有形資産」についてはどうでしょうか。これまでは定年後の人生を20年程度と想定し、金融資産などの「有形資産」の運用を考えてきました。

 

しかし、人生100年時代になれば、これまでの想定+20年、40年を視野に入れた資産運用を、一人ひとりが真剣に考えていかなければならないでしょう。

 

次回から、人生100年時代における、本来あるべき資産運用について考えていきたいと思います。これから資産運用を真剣に検討される方向けに、運用の基礎から説明します。

 

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本連載は、一般的な投資信託の仕組みなどを紹介することを目的にしています。投資を促したり、筆者が所属する「幻冬舎アセットマネジメント」に勧誘することを目的としたものではありません。また、投資にはリスクがあります。リスクに十分に考慮をして、投資判断を行ってください。本連載の内容に関して投資した結果につきましては、著者及び幻冬舎グループはいかなる責任も負いかねます。

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