前回は、人生100年時代において、資産運用が求められる理由を解説しました。今回は、人生100年時代における「退職後の資産運用」の重要性について見ていきます。

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退職後にも継続した「長期の資産運用」が必要に

人生100年時代の資産運用を考える場合に、大切なのは、これまでより大幅に(20年から40年)伸びる「引退からの期間」にどう対応していけばいいのか、しっかりと検討することです。

 

これまでの金融機関では、退職後の生活資金を確保するために、『定年時で不足する資金を運用で確保しましょう』といった提案が主流でした。これは、60~65歳で定年し、20年ぐらいで資金を取り崩し、年金とあわせて豊かな老後を暮らすことが前提となっていました。しかし、人生100年時代では、そこからプラス15年ほどの資金が必要になります。引退時にある資金を単純に取り崩すだけではなく、継続して運用を考える必要があるということです。

 

「平均寿命」は、医療技術の進歩などによって今後も延びるといわれています。長寿はうれしいことですが、予想以上の長生きによって蓄えを使い果たしてしまうという“長生きリスク”が発⽣する可能性があります。

 

[図表1]平均寿命の年次推移

(注)年金受給の開始年齢65歳は、男性が昭和36年、女性が昭和41年のそれぞれ4月2日以後に生まれた方の場合です。
(出所)厚生労働省のデータを基に三井住友アセットマネジメント作成
(注)年金受給の開始年齢65歳は、男性が昭和36年、女性が昭和41年のそれぞれ4月2日以後に生まれた方の場合です。
(出所)厚生労働省のデータを基に三井住友アセットマネジメント作成

 

[図表2]老後の1ヵ月の生活費は?

(出所)生命保険文化センター「生活保障に関する調査(平成28年度版)」を基に三井住友アセットマネジメント作成
(出所)生命保険文化センター「生活保障に関する調査(平成28年度版)」を基に三井住友アセットマネジメント作成

 

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自身の状況に適した「アセットアロケーション」を検討

下記図表3は「元本2,000万円」を毎月10万円使っていく場合、「お金の耐久性」は何年になるかをシミュレーションしたものです。

 

[図表3]元本2,000万円から年間120万円(毎月10万円)取り崩すシミュレーション

三井住友アセットマネジメント作成
(出所)三井住友アセットマネジメント作成

なにも「運用しない場合」は約17年でゼロになります。これまでの引退後20年のパターンでは、無理に運用を継続しなくても、なんとか、やり繰り可能でした。「3%」で運用しながら取り崩していく場合は約23年、「5%」で運用した場合は約36年、「5.9%」で運用した場合は約70年でゼロになります。

 

このように、運用しながら同じ条件で使っていく場合、利回りによって「お⾦の耐久性」が大きく異なってくることがわかります。人生100年時代の資産運用では、引退後35年の資金を確保する必要があります。引退した後も、「お金には引き続き働いてもらう」ことを考え、「5%」程度の運用を継続していくことが望まれます。 

 

下記図表4は、毎月10万円を引き出し、20年間資産をもたせようとすると、当初の元本はいくら必要になるかをシミュレーションしたものです。

 

[図表4]年間120万円(毎月10万円)を20年間取り崩す際の「当初必要元本」

三井住友アセットマネジメント作成
(出所)三井住友アセットマネジメント作成

 

運用しない場合に必要な資⾦は大きな金額になりますが、こちらも利回りのチカラを味方にすることができれば、必要な資金が小さくなっていく効果に注⽬です。

 

「運用しない場合」は2,400万円が必要になりますが、「5%」で運用しながら取り崩していく場合は約1,515万円、「7%」の場合は約1,196万円と当初必要な金額が大きく違ってきます。 

 

シミュレーションで考えると簡単そうですが、実際の運用はそれほど簡単ではありません。日本では、定年で退職金が入ってから何か運用をしなくてはと考え、その時の人気ランキングで上位の投資信託を購入するケースが多く見受けられます。

 

長期の資産運用で成功するには、「商品ありき」ではなく、まずは自身の運用目的、運用期間、リスクの許容度などに適したアセットアロケーション(資産配分)を考え、その上で適した商品(ポートフォリオ)を選択することが大切です。

 

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本連載は、一般的な投資信託の仕組みなどを紹介することを目的にしています。投資を促したり、筆者が所属する「幻冬舎アセットマネジメント」に勧誘することを目的としたものではありません。また、投資にはリスクがあります。リスクに十分に考慮をして、投資判断を行ってください。本連載の内容に関して投資した結果につきましては、著者及び幻冬舎グループはいかなる責任も負いかねます。

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