「家の管理で一日が終わる」72歳夫婦が住み替えを考えた理由
72歳の修一さん(仮名)は、70歳の妻・美智子さん(仮名)と、首都圏のシニア向け分譲マンションで暮らしています。
夫婦の年金収入は合計月約37万円。修一さんはメーカーで長く勤務し、美智子さんも定年まで働いていました。
以前の住まいは、約35年前に購入した郊外の一戸建て。住宅ローンは完済しており、子ども2人が独立してからも住み続けていました。
住み替えを考え始めたのは、修一さんが70歳を迎えた頃です。
「庭の草取りをした翌日は、腰が痛くて動けなくなることもありました。以前なら半日で終わった作業に、丸一日かかるようになっていたんです」
築年数が経過した自宅では、屋根や外壁の修繕、給湯器の交換なども必要になっていました。
ある日、雨どいの不具合を見つけた修一さんが修理業者を探していると、美智子さんがこう言ったそうです。
「この家、あと何年くらい住めるのかしら。私たちも、いつまでも元気でいられるわけじゃないし」
子どもたちはそれぞれ家庭を持ち、遠方で暮らしています。将来、夫婦のどちらかが体調を崩した場合、自宅の管理を一人で続けられるのか不安になったのです。
「家を持っている安心感はありました。でも、年を取ってからも管理し続けることを考えると、少し気が重くなってきました」
夫婦は一般的な分譲マンションも見学しましたが、最終的に選んだのは、シニア世代の暮らしを想定した分譲マンションでした。
館内にはフロントがあり、共用部分の清掃や設備管理を管理会社が担当。居室には緊急通報設備が設けられ、安否確認や生活相談などのサービスも利用できます。
「家のことを心配しなくていいのが一番です。困ったときに相談できる人がいるのも心強いですね」
もっとも、便利な設備やサービスには相応の費用がかかります。
夫婦が購入した2LDKの住戸は約4,200万円。毎月の管理費、修繕積立金、生活支援サービスに関する費用などを合わせると、約9万円が必要でした。
以前の自宅は約2,600万円で売却。諸費用を差し引いた約2,500万円を購入資金に充て、不足分は貯蓄から支払いました。
購入前に約5,000万円あった金融資産は、引っ越しなどの費用も含め、約3,100万円になりました。「管理費が高いのでは」と心配する知人もいましたが、夫婦には別の考えがありました。
