「家賃はかかるけれど…」夫婦が手放したもの、得られたもの
自宅は約1,900万円で売却。仲介手数料などを差し引いた手取りは約1,820万円でした。
引っ越しや新居の初期費用に約100万円を使い、もともとの預貯金と合わせて、手元には約2,600万円が残りました。
新居での生活費は、家賃を含めて月約23万円。年金から税金や社会保険料が差し引かれるため、毎月数万円を預貯金から補う計画です。
「家賃がかかるので、支出が減ったわけではありません。それでも、急に大きな修繕費が必要になる心配は小さくなりました」
内閣府『令和5年度 高齢者の住宅と生活環境に関する調査』によると、現在の住まいに感じる問題として「住まいが古くなり、いたんでいる」を挙げた人は29.5%、「段差や階段等があり使いにくい」は12.7%でした。高齢期の住宅では、建物の老朽化や使い勝手が課題になることがわかります。
また、総務省『家計調査報告〔家計収支編〕2025年平均結果の概要』では、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の可処分所得は月平均22万1,544円、消費支出は26万3,979円でした。平均で毎月約4万2,000円の不足が生じており、住み替え後の家賃を長期的に負担できるかは重要な判断材料です。
洋子さん夫婦も、家賃の支払いが続くことは理解しています。
「80代、90代になっても住み続けられるかは考えています。家賃が上がる可能性もありますし、介護が必要になれば別の住まいを探すことになるかもしれません」
高齢者の賃貸契約には、入居審査や保証人の問題もあります。今回の物件では娘が緊急連絡先となり、保証会社を利用して契約できました。
引っ越して半年。洋子さんが最も変化を感じているのは、日々の外出です。
「買い物に歩いて行けるのがうれしいですね。夫も近くの公園まで散歩するようになりました」
娘も新居を訪れ、以前より生活しやすそうな両親の様子を見て、少し安心したようです。
「家を残してほしかった気持ちはあると思います。でも、今は『便利になってよかったね』と言ってくれます」
持ち家を売却して賃貸に移れば、家賃という継続的な負担が生じます。一方、住宅の管理や修繕から解放され、日常生活の利便性が高まる場合もあります。高齢期の住み替えでは、資産を残すことだけに目を向けず、将来の支出と身体状況を見据えながら、無理なく暮らせる住まいを選ぶことが大切です。
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