(※写真はイメージです/PIXTA)

子どもが独立し、家庭を持つと、親子が顔を合わせる機会は少しずつ変わっていきます。以前は頻繁に帰省していた子どもが、いつの間にか実家に寄りつかなくなり、寂しさを感じる親もいるでしょう。仕事や子育ての忙しさが理由だと思っていても、実際には親子の間に長年積み重なった不満が隠れている場合があります。何気なく交わしてきた言葉が、家族の距離を広げてしまうこともあるのです。 ※本記事に掲載している事例は、プライバシー保護および情報の一般化のため、実際の相談事例をベースに一部の数値や設定を変更・再構成したモデルケースです。

「心配していただけなのに」母が見直した息子夫婦との接し方

佳代子さんは、これまでの帰省を思い返しました。

 

孫が食事を残せば「好き嫌いはよくない」と言い、息子夫婦が休日に出かけた話をすれば「そんなにお金を使って大丈夫?」と尋ねていました。

 

「私たちの年金は月19万円ですから、普段から節約しているんです。息子たちにも、無駄遣いしないでほしいと思っていました」

 

しかし亮介さん夫婦は共働きで、自分たちなりに家計を管理しています。

 

「息子はもう40代なのに、私はいつまでも子ども扱いしていたんですね」

 

内閣府『令和5年度 高齢者の住宅と生活環境に関する調査』によると、日常生活の作業が一人ではできなくなったとき、同居家族以外に頼れる人として「別居の家族・親族」を挙げた人は63.9%でした。離れて暮らす家族とのつながりは、高齢期の生活を支えるうえでも重要なものです。

 

数日後、佳代子さんは亮介さんに短いLINEを送りました。

 

「この前は話してくれてありがとう。今までいろいろ言いすぎてごめんなさい。奥さんにも謝っておいてください」

 

亮介さんからは、その日の夜に返信がありました。

 

「わかってくれてありがとう。母さんたちに会いたくないわけじゃないんだ」

 

佳代子さんは、すぐに次の帰省を誘うことはしませんでした。代わりに、弘志さんと話し合い、息子一家が来たときの過ごし方を見直すことにしたそうです。

 

「今までは、せっかく来たんだからと、あれこれ聞いていたんです。でも、本人たちが話したいことを聞けばよかったんですよね」

 

しばらくして、亮介さんから「来月、近くで用事があるから、帰りに少し寄ってもいい?」と連絡がありました。佳代子さんは「もちろん。無理のない時間でいいよ」と返信しました。

 

「以前なら、お昼も食べていきなさいって言っていたと思います。でも、今回は向こうの予定に任せようと思いました」

 

息子一家が以前のように頻繁に帰省するかどうかは、まだわかりません。それでも佳代子さんは、今後の付き合い方を少しずつ変えていきたいと考えています。

 

「寂しい気持ちはあります。でも、また気軽に顔を出してもらえるようになったら、うれしいですね」

 

子どもが独立したあとも、親が心配する気持ちは簡単には変わりません。ただ、何気ない助言や質問が繰り返されることで、子ども夫婦に負担を与える場合もあります。親子が無理なく交流を続けるためには、相手の暮らし方を尊重し、求められていない助言を控えることも必要でしょう。

 

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