(※写真はイメージです/PIXTA)

高齢の親と離れて暮らしていると、日々の生活の変化に気づくのは難しいものです。特に寒さの厳しい地域では、冬場の暖房費が家計の負担になることもあるでしょう。親が「大丈夫」と言っていても、実際には出費を抑えるために無理をしているかもしれません。 ※本記事に掲載している事例は、プライバシー保護および情報の一般化のため、実際の相談事例をベースに一部の数値や設定を変更・再構成したモデルケースです。

「灯油代が怖くて…」父が娘に隠していた生活の変化

美紀さんが台所で見つけたのは、数ヵ月分の家計簿でした。茂さんは毎月の支出を細かく記録しており、食費や電気代、医療費などの数字が並んでいました。

 

「年金が13万円あっても、税金や保険料が引かれるし、最近は何でも高いだろう」

 

茂さんによると、年金の振込額は月換算で11万円台。食費や光熱費、通信費、通院費などを払うと、ほとんど残らない月もあるそうです。

 

さらに、前年の冬には灯油代が月2万円近くかかった時期もありました。

 

「今年も同じくらいかかると思うと、早いうちから使う気になれなくてな」

 

茂さんには数百万円の預貯金があります。しかし、古くなった家の修繕や将来の介護費用を考えると、できるだけ手をつけたくないというのです。

 

総務省『家計調査報告〔家計収支編〕2025年平均結果の概要』によると、65歳以上の単身無職世帯の月平均可処分所得は11万8,465円、消費支出は14万8,445円で、約3万円の不足が生じています。これは全国平均であり、寒冷地では冬場の暖房費がさらに家計を圧迫する場合もあります。

 

美紀さんは、父がここまで支出を気にしているとは知りませんでした。

 

「お金のこと、もっと早く相談してくれればよかったのに」

 

「お前にも生活があるだろう。年金をもらってるんだから、自分で何とかしないとな」

 

茂さんは、娘に心配をかけたくなかったと話しました。

 

美紀さんは、その場で父と冬場の生活費を確認し、灯油代については必要なら援助することを伝えました。また、長時間過ごす居間や寝室の室温を確認し、寒い日は無理せず暖房を使うよう頼みました。

 

「父は『そこまでしなくても』と言っていました。でも、体調を崩してからでは遅いと思ったんです」

 

その後、茂さんは朝晩に暖房を使うようになり、美紀さんも電話のたびに室温や灯油の残量を尋ねています。

 

「電話で声を聞いているだけでは、家の寒さまではわかりません。今回、帰ってみてよかったと思いました」

 

高齢者の一人暮らしでは、収入が限られるなかで生活費を切り詰めることがあります。特に寒い地域では、暖房費を節約しようとして室内環境が悪化するおそれもあります。離れて暮らす家族は、普段の会話に加えて、季節ごとの生活状況や家計の負担についても確認しておきたいものです。

 

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