(※写真はイメージです/PIXTA)

老後の楽しみとして、旅行を計画する人は少なくありません。仕事や子育てが一段落し、時間に余裕ができたことで、以前から行きたかった場所を訪れる人もいるでしょう。しかし旅先で目にした風景が、過去の出来事や家族との思い出を呼び起こすこともあります。ある66歳女性は、相続したお金で海外旅行を満喫するなか、ひとつの後悔を抱くようになったといいます。 ※本記事に掲載している事例は、プライバシー保護および情報の一般化のため、実際の相談事例をベースに一部の数値や設定を変更・再構成したモデルケースです。

「元気なうちに」800万円でかなえた海外旅行の夢

「この3年間は、人生で一番楽しかったと思います。ずっと行きたかった国にも、たくさん行けましたから」

 

そう話すのは、66歳の由美子さん(仮名)です。

 

由美子さんは長年会社員として働き、63歳で退職しました。現在は月約14万円の年金を受け取り、住宅ローンを完済したマンションで一人暮らしをしています。

 

退職した年、母親が89歳で亡くなり、遺産として約800万円の現金を相続しました。

 

「母は最後まで倹約家でした。自分のためにはほとんどお金を使わない人だったんです」

 

由美子さん自身も、仕事や家事に追われ、海外旅行にはほとんど行ったことがありませんでした。若い頃からヨーロッパの街並みに憧れていましたが、まとまった休暇を取るのが難しく、旅行の計画はいつも後回しになっていたそうです。

 

「退職して時間ができたとき、ふと思ったんです。元気なうちに行かなかったら、きっと後悔するって」

 

由美子さんは、それまでに蓄えた約1,500万円を老後の生活資金として残し、相続した800万円を旅行などの楽しみに使うことにしました。

 

最初に訪れたのはイタリアです。ローマの街を歩き、フィレンツェで美術館を巡り、ベネチアでは運河沿いの景色を眺めました。

 

「写真でしか見たことのなかった場所に、自分が立っている。それだけで感動しました」

 

その後もフランスやスペイン、オーストリアなどを訪問。友人と一緒に出かけることもあれば、一人でツアーに参加することもありました。

 

年に2〜3回、1回当たり40万〜80万円ほどをかけ、3年間で海外旅行に使ったお金は約650万円。残りの約150万円は、国内旅行や旅行用品などに充てました。

 

「お金は減りましたけど、後悔はありません。行ってよかったと心から思っています」

 

旅行先で知り合った人と連絡を取り合うようになり、帰国後も次の旅について調べることが楽しみになりました。

 

そんな由美子さんが、ふと立ち止まったのは、3年目に訪れたオーストリアでのことでした。

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