米国の贈与・相続、申告漏れで9万ドルのペナルティ…IRSが還付したのに司法省が返還を要求した理由【国際税理士が解説】

米国の贈与・相続、申告漏れで9万ドルのペナルティ…IRSが還付したのに司法省が返還を要求した理由【国際税理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

米国では、海外から一定額を超える贈与や相続を受けた場合、税金が課されなくても、IRS(米国内国歳入庁)への報告が必要となる。所定の書類を提出しなければ、多額のペナルティを課されることもある。今回、父親からの贈与をめぐって9万ドルのペナルティを課された納税者は、いったんIRSから還付を受けたものの、今度は米国司法省から返還を求められる事態に陥った。なぜ、このような異例の展開となったのか。米国の税務行政の仕組みとともに解説する。

在米日本人も要注意…親からの送金にも報告義務が生じる場合

今回の事例は、納税者が意図的に所得を隠したという問題だけでは説明できません。税務の専門家に相談していた納税者が報告漏れを指摘され、ペナルティを課されたうえ、いったん還付された金額についても、政府機関同士の権限をめぐる争いに巻き込まれることになりました。

 

フォーブスの報道が示しているのは、米国の税務制度では、税金を支払う義務の有無だけでなく、情報を報告する義務や、行政機関と司法機関の権限関係についても理解しておく必要があるという点です。訴訟に発展した場合には、納税者が想定していなかった形で問題が長期化するおそれもあります。

 

こうした制度上の問題が今後どのように整理されるかは注目されるところですが、米国に居住する日本人にとっても、決して他人事ではありません。

 

例えば、米国に留学している子どもが、日本に住む親から生活費や学費などの支援を受ける場合です。米国の税務上の居住者などが、外国人から年間10万ドルを超える一定の贈与や相続を受けた場合、Form3520の提出が必要になることがあります。具体的な適用関係は、受け取った財産の種類や状況などによって確認する必要があります。

 

日本では、贈与を受けた側が贈与税を負担する仕組みが基本となっています。一方、米国では贈与者側に課税される制度であっても、受け取った側に別途、報告義務が課される場合があります。この違いを理解せず、日本の感覚で手続きを判断すると、思わぬペナルティにつながりかねません。

 

米国に居住する日本人や、その家族から海外送金を受ける人は、課税の有無だけで判断せず、報告義務の有無も確認することが重要です。必要に応じて、米国の国際税務に詳しい専門家に相談し、Form3520の提出要件を事前に確認しておきたいところです。

 

奥村 眞吾
税理士法人奥村会計事務所
代表

 

 

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