物価高に苦しむ息子家族に援助を決断
70歳のAさんは夫に先立たれ、自身の老齢年金と遺族年金を受給しています。年金額は240万円(月額20万円)。住宅ローンもなく、亡くなった夫と夫婦で築いた退職金や貯蓄が2,000万円以上あるため、突発的な大きな出費等が発生しなければ、おひとり様の生涯生活は十分に賄っていける経済状況です。
Aさんにはすでに独立した息子が一人います。息子の家族はAさんの家からスープの冷めない距離に住宅を購入し、Aさんから見ての孫と妻と4人で生活しています。息子の妻も正社員として働いており、いわゆる共働き世帯です。しかし、近年の物価上昇により、息子家族の家計は苦しくなっていました。子どもの教育費で塾代等が重くのしかかり、成長期の子どもは食べ盛りで食費もかかる年ごろです。
息子は一人暮らしのAさんを気遣ってAさんの家に毎月1回は訪問し、様子を見に来てくれます。その際、息子がAさんに「上の子がスポーツを続けていきたいから、私立学校に行きたいと相談され、そのための塾代が家計の負担になっている」とぼやきました。
幸い、Aさんは年金のみで生活が賄えており、さらに毎月余剰金すら出ている状況。Aさんは、息子家族のために援助をすることを申し出ました。
息子と相談した結果、上の孫Bちゃんの塾代として毎月5万円を渡すことに。こうして、Aさんによる息子世帯への教育資金の援助が始まりました。
「お金を出しているのだから…口を出さずにはいられなかった」
息子が孫に話したのか、孫がAさんと会うと、「お祖母ちゃん、いつもありがとう。塾もスポーツも頑張っているよ。模擬試験では入りたい学校の合格圏内にはいっているんだ」などと、自ら近況報告をしてくれるように。孫の嬉しそうな声に、Aさんも支援してよかったと満たされていました。
ところが、「月5万円を援助している」という意識からか、Aさんの態度は次第に変化していきます。孫が遊びに来るたびに「最近の塾の成績はどうなの?」「最終的にどの学校を受験するつもりなの?」と細かく問い詰めるようになりました。
さらに、Aさんが孫の進学に関して口を挟む回数は増えていきます。
「Bちゃん、塾に行くお金は高額なのよ。せっかく通わせてもらっているのだから、その学校ではなく、もっと偏差値の高い学校を狙うべきじゃないかしら」
「成績が伸び悩んでいるなら、中途半端にスポーツを続けている場合ではないでしょう。部活はやめるべきよ」
孫の将来を思っての助言のつもりでしたが、当の孫からすれば「自分の意思を否定され、希望校を認めてくれない口うるさい存在」でしかありません。次第に孫はAさんの家へ寄り付かなくなってしまいました。
板挟みになった息子も、金銭的な支援を受けている手前、無下に断ることができません。「勉強とスポーツの両立で忙しくなり、なかなか顔を出せなくて」と苦しい言い訳を重ねるようになっていきました。
