(※写真はイメージです/PIXTA)

子育て世代にとって教育費の無償化は朗報ですが、無償化の対象は授業料に限られています。そのため、昨今の物価高も相まって、授業料以外にかかる習い事や塾代といった費用は依然として子育て世帯の家計に重くのしかかっています。こうしたなか、家計にゆとりのある親世代が子や孫へ資金援助を行うケースも珍しくありません。しかし、差し伸べた手が、思わぬ家族の亀裂を生んでしまうことも。本記事では合同会社ミコサポ代表の三藤桂子FPが、Aさんの事例から親子間におけるお金の支援と適切な距離感について考えます。※本記事に掲載している事例は、プライバシー保護および情報の一般化のため、実際の相談事例をベースに一部の数値や設定を変更・再構成したものです。

物価高に苦しむ息子家族に援助を決断

70歳のAさんは夫に先立たれ、自身の老齢年金と遺族年金を受給しています。年金額は240万円(月額20万円)。住宅ローンもなく、亡くなった夫と夫婦で築いた退職金や貯蓄が2,000万円以上あるため、突発的な大きな出費等が発生しなければ、おひとり様の生涯生活は十分に賄っていける経済状況です。

 

Aさんにはすでに独立した息子が一人います。息子の家族はAさんの家からスープの冷めない距離に住宅を購入し、Aさんから見ての孫と妻と4人で生活しています。息子の妻も正社員として働いており、いわゆる共働き世帯です。しかし、近年の物価上昇により、息子家族の家計は苦しくなっていました。子どもの教育費で塾代等が重くのしかかり、成長期の子どもは食べ盛りで食費もかかる年ごろです。

 

息子は一人暮らしのAさんを気遣ってAさんの家に毎月1回は訪問し、様子を見に来てくれます。その際、息子がAさんに「上の子がスポーツを続けていきたいから、私立学校に行きたいと相談され、そのための塾代が家計の負担になっている」とぼやきました。

 

幸い、Aさんは年金のみで生活が賄えており、さらに毎月余剰金すら出ている状況。Aさんは、息子家族のために援助をすることを申し出ました。

 

息子と相談した結果、上の孫Bちゃんの塾代として毎月5万円を渡すことに。こうして、Aさんによる息子世帯への教育資金の援助が始まりました。

「お金を出しているのだから…口を出さずにはいられなかった」

息子が孫に話したのか、孫がAさんと会うと、「お祖母ちゃん、いつもありがとう。塾もスポーツも頑張っているよ。模擬試験では入りたい学校の合格圏内にはいっているんだ」などと、自ら近況報告をしてくれるように。孫の嬉しそうな声に、Aさんも支援してよかったと満たされていました。

 

ところが、「月5万円を援助している」という意識からか、Aさんの態度は次第に変化していきます。孫が遊びに来るたびに「最近の塾の成績はどうなの?」「最終的にどの学校を受験するつもりなの?」と細かく問い詰めるようになりました。

 

さらに、Aさんが孫の進学に関して口を挟む回数は増えていきます。

 

「Bちゃん、塾に行くお金は高額なのよ。せっかく通わせてもらっているのだから、その学校ではなく、もっと偏差値の高い学校を狙うべきじゃないかしら」

 

「成績が伸び悩んでいるなら、中途半端にスポーツを続けている場合ではないでしょう。部活はやめるべきよ」

 

孫の将来を思っての助言のつもりでしたが、当の孫からすれば「自分の意思を否定され、希望校を認めてくれない口うるさい存在」でしかありません。次第に孫はAさんの家へ寄り付かなくなってしまいました。

 

板挟みになった息子も、金銭的な支援を受けている手前、無下に断ることができません。「勉強とスポーツの両立で忙しくなり、なかなか顔を出せなくて」と苦しい言い訳を重ねるようになっていきました。

次ページ耐えかねた息子の決断

※プライバシー保護の観点から、相談者の個人情報および相談内容を一部変更しています。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧