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旧友から持ち掛けられた投資話
都内の大手企業で課長職を勤める世一さん(仮名/44歳、月収77万円)は、久しく連絡を取っていなかった大学ゼミ同期の廻さん(仮名)から誘われて、新宿の繁華街にある居酒屋で会うことになりました。
お互いの近況報告がひととおり済んだところで、廻さんが切り出します。
「実はいますごい投資をやっているんだ。年利30%で運用できるんだ。興味があったら世一もやってみないか」
世一さんは、人並みに時流に乗ってNISAで少額の積み立てはしていたものの、個別株の取引経験はありませんでした。
廻さんは、スマートフォンの画面をみせながら捲し立てます。
「ほら、1ヵ月でこれだけ増えて利益が出ている。いまどき銀行に預金しても利息はつかないし、物価は上がる一方だから、現金で持っている資産は、価値が目減りしていく。つまり、なにもしないでいると財産が失われていくんだ。この投資は、『エクセレントダイヤモンド(仮称)』といって、世界中の富裕層がこぞって投資している商品なんだ。おれも2年前から始めて、何回か出金したけど問題はなかった。やらない手はないぞ!」
世一さんは、大学時代の友人が自分を騙そうとするはずがない、という思いがありました。また、みせられたスマートフォンの画面で、投資額が毎月着実に増えていたので、エクセレントダイヤモンドに投資することに決めました。
エクセレントダイヤモンドに魅了されて…
後日、廻さんからLINEで手続きを案内され、手始めに300万円を指定口座に振り込みます。世一さんは、アプリで自分の資産が毎月増えていく様子をみて、満足していました。
投資をはじめて3ヵ月が経ったころ、廻さんからLINEで追加の投資を勧められます。すっかりエクセレントダイヤモンドのファンになっていた世一さんは、迷うことなく、すでに投資している300万円に加えて、預金全額1,000万円を追加で投じました。
その1ヵ月後、スマホを眺めていた世一さんの目に、エクセレントダイヤモンドが詐欺ではないかと議論するLINEのオープンチャットが飛び込んできます。まさかと思いましたが、念のため、廻さんから聞いていた方法で、エクセレントダイヤモンドのアプリ画面上では残高2,000万円になっている運用資金の出金を試みました。ところが、1週間経っても2週間経っても、指定した口座に着金はありません。
世一さんは、いよいよ心配になって、廻さんに電話すると、「実は、おれも出金できなくて困っているんだ。様子を見守るしかない」と、けんもほろろな回答。
「働きはじめてからコツコツ貯めてきた全財産を失っちゃったのか……」世一さんは、LINEの画面をみつめ、頭を抱えるしかありませんでした。
