「やっちまった…」年収1,200万円・42歳エース社員、社運を賭けた「再開発プロジェクト」で5億円の損害。社長激怒も、当人に賠償請求できない理由【社労士が解説】

「やっちまった…」年収1,200万円・42歳エース社員、社運を賭けた「再開発プロジェクト」で5億円の損害。社長激怒も、当人に賠償請求できない理由【社労士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

会社員として働くうえで、自分のミスが会社に多大な損害を与えてしまったら「全額弁償させられるのだろうか」と不安になることがあるかもしれません。逆に経営者側は「重大な過失は責任を取らせたい」と考えるでしょう。本記事では、虚偽の報告によって会社に約5億円の損害を与えた年収1,200万円の42歳営業課長の事例をもとに、従業員に対する損害賠償請求の法的なハードルを社会保険労務士が解説します。※本記事に掲載している事例は、プライバシー保護および情報の一般化のため、実際の相談事例をベースに一部の数値や設定を変更・再構成したモデルケースです。

犯人探しよりも優先すべき「責任の所在」の可視化

およそ5億円に及ぶ損害を個人に全額被せることは法律上不可能に近いという現実を突きつけられ、社長は自らの甘さを痛感しました。

 

今回の損失の一次的な責任は最終決裁を下した社長自身にあるとし、個人の人生を破滅させるような報復的請求は行わず、役員報酬の無給化とAさんの降格・減給処分を決定。

 

妥当な範囲内での一部損害賠償請求にとどめ、二度と同じ過ちを繰り返さないよう、必ず法務担当や外部専門家のクロスチェックが入る強固な決裁システムの構築に乗り出したのでした。

 

今回の事例のように、特定の社員への過度な依存や確認不足は、会社に思わぬ損失をもたらすリスクがあります。これを機に属人的な業務フローを見直し、組織全体で客観的なチェック機能を持たせることが、企業にとって重要な教訓になると言えるでしょう。

 

 

内海 正人

社会保険労務士法人日本中央社会保険労務士事務所 代表社員

社会保険労務士/人事コンサルタント

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