今回は、銀行の貸付金利を下げるためには、「複数行との取引」をすべき理由について見ていきます。※本連載では、現場での実務経験豊富な経営コンサルタントである著者が、銀行交渉の成功事例、融資を受けるために知っておきたい銀行の内部事情などを紹介します。

銀行は資金を仕入れるための「業者」である

“金利がなかなか下がらないんです。”

 

お聞きすると、いまだに2%前後、ということもあります。

 

で、“ところで取引銀行は何社ですか?”とお聞きすると、“○○銀行だけです。”という答えが返ってきたりします。

 

“そりゃぁ、下がらないですよ。”

“そうですか?”

“だって、競争相手がいないのに、下げないでしょ。”

 

銀行は、資金の仕入先です。いわば、銀行は資金の仕入業者なのです。当たり前ですが、納品する側は、競争相手がいるから、売値を下げるのです。競争相手がいないとわかっていたら、

 

“御社には良い金利で対応させてもらっています。”

 

“いやぁ…、これでもう、せいっぱいです。”など、なんだかんだ言って、金利を下げないようにします。

良い財務体質にしたいなら交渉を面倒がらない

“どうして1行取引なのですか?”と尋ねます。

 

“あそこには、助けてもらったことがあって・・・。”

“長いお付き合いなので・・・”

“よそで断られたことがあって…”

“外貨取引が多いので…”

 

などなど、まあ多種多様です。

 

しかし、どのような理由があろうとも、他行と取引をしてはいけない理由には、ならないのです。借りる側が、勝手に線引きしているだけです。それに、1行取引から、複数取引にするには、交渉が増えます。

 

なので、エネルギーが必要になります。そこで立ち止まることがあります。言ってみれば、面倒くさいのです。だから、多種多様な理由が登場するのです。

 

しかし、少しでもキャッシュフローを改善させ、良い財務体質にしたいなら、
この新たな交渉を、面倒がってはいけないのです。

 

競争原理が働くから、借入金利は下がるのです。競合先もないのに、金利が下がることは、ないのです。資金以外の仕入先には厳しくあたり、資金の仕入先には強く交渉できない、という姿勢があるなら、改めてほしいのです。

本連載は、株式会社アイ・シー・オーコンサルティングの代表取締役・古山喜章氏のブログ『ICO 経営道場』から抜粋・再編集したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。ブログはこちらから⇒http://icoconsul.cocolog-nifty.com/blog/

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