今回は、資金繰りを厳しくする要因になり得る「現預金」について見ていきます。※本連載では、現場での実務経験豊富な経営コンサルタントである著者が、銀行交渉の成功事例、融資を受けるために知っておきたい銀行の内部事情などを紹介します。

余分なキャッシュアウトが増える短期借入

決算書を見ると、月商の何倍もの現預金を抱えている場合があります。
で、B/Sの右側を見ると、借入金がどっさりある、というケースがよくあります。

 

しかも、短期借入が長期借入より大きい、ということが多いです。当然、元金返済も大きくなります。支払利息も膨らみます。なので、余分なキャッシュアウトが増えています。その分、資金繰りが厳しいのです。

 

ムダなキャッシュアウトがなければ、その分、資金繰りは、ラクなのです。担当者に聞くとたいてい、銀行に言われるがまま、借りているのです。

 

で、“短期借入を減らして、現預金を減らしなさい!”というと、“資金繰りが厳しいのに、現預金を減らすんですか!”と、驚く方が、おられるのです。

 

その現預金は、結局は、借金であり、その借金が、資金繰りの首を絞めているのです。

 

ムダに借りるから、資金繰りが悪くなるのです。そのことがおわかりにならない方が、時々おられるのです。現預金がたんまりあることで、安心してしまうのです。

 

で、“誰に相談したんですか?”と聞くと、“銀行の人に相談しました”なんていう、信じられない返事が返ってきたこともあるのです。

現預金の目安は月商の2分の1

銀行は、貸すのが商売です。借入を減らしなさい、とは絶対に言いません。

 

“現預金をもう少しお持ちになってはいかがですか?”と、言ってくるだけです。
つまりは、借金を進めてくるのです。

 

期日が来ても、更新をしなければ、短期借入は減ってゆくのです。支払利息も減るのです。

 

現預金も在庫です。目安は、月商の2分の1です。それより多いなら、減らして、ギリギリで資金繰りを回す方向に、舵取りをしてほしいのです。

本連載は、株式会社アイ・シー・オーコンサルティングの代表取締役・古山喜章氏のブログ『ICO 経営道場』から抜粋・再編集したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。ブログはこちらから⇒http://icoconsul.cocolog-nifty.com/blog/

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